輝国山人の韓国映画
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▼1930年代の日帝時代の京城(現在のソウル)のチョンノ(鍾路)。朝鮮独立運動の英雄キム・ジュァジン(金佐鎮)将軍の息子キム・ドゥハン(パク・サンミン)は,自分の生まれも知らず,浮浪児として育ったが,その武闘力を見込まれ,鐘路を仕切るやくざ組織鍾路組のキワニに拾われる。
▼キム・ドゥハンは,馬賊を破った京城帝大の学生やくざオム・ドンウク[オントグ](キム・ヒョンイル)とともに,鍾路を日本人の手から守ろうとするが,鍾路をねらう日本人やくざ組織林組の親分林(シン・ヒョンジュン)のため,キワニもオム・ドンウクも破れ,キム・ドゥハンは,鍾路組の新親分となる。
▼キム・ドゥハンは,警察柔道師範の丸岡警部(キム・ソンリョン)や林組が雇ったキム・ドンへ(イ・イルジェ)との闘いに勝ち,鍾路を守ったかに見えたが・・・。
1930年代,ソウル鍾路(チョンノ)の優美館(映画館)一帯にあった実話を扱ったホン・ソンユの同名原作を土台に,単なる暴力団に過ぎないキム・ドゥハン(金斗漢)という人物が,民族という大きい命題と会い迫害を受ける民衆の精神的支柱になる過程を描いたアクションドラマ。「将軍の息子」シリーズ3部作の1作目。
[製 作 年] 1990年 [韓国封切] 1990年6月9日 [観覧人員] 678,946人 1990年 第1位 (韓国映画データベース 年度別ボックスオフィス) [原 題] 将軍の息子 장군의 아들 [英 語 題] The General's Son [ジャンル] アクション,ドラマ [原 作] ホン・ソンユ(洪性裕)著 「将軍の息子 キム・ドゥハン(金斗漢) 」 朝鮮日報に連載中の題名は「人生劇場」 [原 案] キム・ヨンオク(金容沃) [脚 色] ユン・サミュク(尹三六) [監 督] イム・グォンテク [第89作] [演 出 部] キム・ヨンビン、キム・ウィソク、パク・クァンイン、イム・サンス [撮 影] チョン・イルソン [照 明] チャ・ジョンナム [編 集] パク・スンドク [音 楽] シン・ビョンハ [美 術] ト・ヨンウ [武 術] ヤン・ジンバン [出 演] パク・サンミン → キム・ドゥハン(金斗漢)(声:ペク・スンチョル) シン・ヒョンジュン → 林(はやし)親分 本町(今の忠武路)の林組親分 イ・イルジェ → キム・ドンへ(金東会)(声:イ・ソン) パン・ウニ → ファジャ(花子) 楽園会館女給 キム・ヒョンイル → オム・ドンウク[オントグ] シンマジョク(新馬賊) 京城帝大の学生やくざ ミン・ウンシク → キワニ キム・ギファン チョンノ(鍾路)組の親分 キム・スンウ → モロハ(両刃=サンカル) ソン・ホギュン → 二刀流 伊藤武蔵(いとう むさし) キム・ヘゴン → ワンマギ キム・ドンへの手下 イ・ジョンサン → 鍾路のチビ キム・ドゥハンの手下 シン・ヒョンベ → チョン・ボムス → キム・ソンリョン → 丸岡(まるおか)警部 チョンノ(鍾路)警察署 [制作進行] パク・ヨンチョル → マンチ(声:キム・ギヒョン) シン・イヒョン → イ・ヘリョン → キム・マンボク 優美館社長 チュ・サンホ → クニモト(国本)刑事 チョンノ(鍾路)警察署 高等係 ノ・ピョンチョル → キム・ミラン → キム・ソンギョン → ヨンナニ 楽園会館女給 キム・ユニ → シン・ミョンスク → パク・ミニ → イ・ヘジュ → アン・ヨンラン → ファン・グンチャン → マンソク 優美館マネージャー ノ・スンジン → ホン・アンピョ → キム・ドンフン → キム・ギュテ → キム・テヒ → アン・ソンヒョク → チョン・ソギョン → ハ・ジェホ → ファン・ビョンフン → キム・ビョンチャン → キム・グァンギ → パク・キソン → カン・ソングク → チョン・サンギ → パク・ヨンギョ → チョン・ムンギ → チェ・ジュンソク → キム・ソックン → オ・ドンヨン → ヨンゴル キム・ドゥハンの手下 ファン・ジョンミン → 楽園会館 支配人 二刀流武蔵に殴られる コ・ヨンイク → ヤン・テクチョ → 朝鮮人商人組合長 パク・ミノ → 田村 金東会を林宅に連れてくる警察 イ・ドリョン → チャン・ジョングク → 本町の刑事(キワニに殴られる) チェ・ジェホ → 朝鮮人商人組合役員 イ・ソック → マンチ 全羅道 ワン・テオン → ホン・ドンウン → パク・イェスク → パク・チョンソル → キム・ドンヒョン → 子役 イ・ヒスン → 子役 シン・ビョンユン → アクション演技 キム・ヨンモ → アクション演技 チョン・ドゥホン → アクション演技 イ・ビョンホ → アクション演技 ホン・ソギク → アクション演技 キム・ジョンギ → アクション演技 キム・テジョン → アクション演技 イ・ヒョンギル → アクション演技 パク・チョンミン → アクション演技 キム・ヒョジン → アクション演技 キム・ハクソン → アクション演技 イ・イノク → 明月館の女将 キム・ヒソン → チョン・ミン → チョ・ヒョングィ → [受 賞] 1991 第29回 大鐘賞映画祭/新人男優賞(パク・サンミン) 1990 第11回 青龍映画賞/新人男優賞(パク・サンミン),韓国映画最多観客賞 1991 第11回 韓国映画評論家協会賞/美術賞(ト・ヨンウ) [映 画 祭] 1991 第5回 福岡アジア映画祭 上映作品 [観覧制限] 18歳以上 観覧可 [時 間] 108分 [制 作 者] イ・テウォン [制作会社] テフン(泰興)映画社(株) [ビ デ オ] JVD(VHS 15,800円,再発売DVD 3,900円) [レンタル] あり [You Tube] https://www.youtube.com/watch?v=EidX2DPPSBw
(将軍の息子1) https://www.youtube.com/watch?v=77OVBLuL-ww&list=PL28d5JImIlH50aeJKxG514x4kZOXDeAzJ&index=18
(将軍の息子1)(4K) https://www.youtube.com/watch?v=APOzYHo0_HU
(将軍の息子1、2、3) [Private ] J-DVD【19】 [お ま け] ・これまで数々の監督により映画化されたキム・ドゥハン(金斗漢)映画の一つ。30 年代のソウルの様子や人々の生活が,日本人を含めて描かれており,日帝時代の姿が よくわかる作品である。 ・将軍の息子2,将軍の息子3は,完全な続編。 ・主役のキム・ドゥハン(金斗漢)を演じるパク・サンミン(朴尚民)は,何となくサ ザン・オールスターズの桑田佳祐に似ている(と思う。)
・実際のキム・ドゥハン(金斗漢:1918.5.15〜1972.11.21 写真(右))は,独立運動 家キム・チョァジン(金佐鎮)将軍の息子としてソウルで生まれた。 ・ソウルのキョドン国民学校を卒業し,極道として活動しながら拳王として君臨した。 ・日帝の強制占領期間末には拳の力で民族的・義侠的な行動をしたと伝えられる彼は, 解放後,韓独党の財政委員,大韓民主青年連盟の副委員長,大韓労組総連合会の最高 委員,第3代と第6代国会議員を歴任した。 ・彼は,知られている顔とは異なり,政治下手人として反共青年団を組織し,多くの人 々を殺したと伝えられる。 ・労組指導者を襲い,竹槍や拳銃で殺害した後,電車事故を偽装したり,乞食時代のパ ートナーだったチョン・ジニョン(鄭鎭英)が左翼活動をしたとして襲い,鉄パイプ で殴り殺したりもしたという。 ・国会の発言台からチョン・イルグォン国務総理とチャン・ギヨン副総理などにあらか じめ準備した汚物を投げつけた,いわゆる国会汚物投擲事件など,独特の政治生活を して議員職を辞退した。 ・そして,彼は,1972年11月21日,突然の脳内出血により55歳でで亡くなっ たそうだ。 ・この映画で描かれた日韓対決について,次の本に詳細に解説されています。 「韓国のなかのトンデモ日本人」 著 者:野平俊水,大北章二 発行所:株式会社双葉社 2004年5月20日 第1刷発行 ・この映画の制作に当たっては,俳優のオーディションが行われたが,実際に組織暴力 団が応募して選ばれ,映画撮影に参加したのだそうだ。 ・この映画は,イム・グォンテク監督とチョン・イルソン撮影監督という黄金コンビが 作り出した派手な韓国式アクションが観客に受け,67万9千人の観客を動員して, 14年ぶりに1976年のキム・ホソン(金鎬善)監督の<冬の女>の記録(59万 人)を更新したそうだ。 ・キム・ドゥハン(金斗漢)につきまとってひどい目に遭わせる刑事の名前が,くにも と(国本)であるのは,イム・グォンテク監督が小学校時代に,野外授業で同級生に 韓国語で話しかけられたのを,くにもと(国本)という先生に見とがめられ,ひどく 制裁を受けたこと,また,その先生は,顔つきから日本人だと思っていたのに,実は, 王族の血を引くチョンジュ(全州)李氏の家系で,王族の血を引くから「国本」とい う名前に改名していた朝鮮人だったということを知ったという経験からだそうだ。 ・このシリーズのどこかで,キム・ドゥハン(金斗漢)が,くにもと(国本)刑事を半 殺しにする場面があるが,そこで,王族の血を引く朝鮮人なのに,日本の味方をする とはけしからんという旨のセリフをキム・ドゥハン(金斗漢)にしゃべらせている。 ・キム・ドゥハン(金斗漢)役のパク・サンミンと林(はやし)親分役のシン・ヒョン ジュンの声は,後で声優が吹き替えをしたそうだ。 ・最初に小説「将軍の息子」の映画化の依頼が,制作会社からあったとき,この素材で は三流アクションになるに違いないと思い,断ったそうだ。 ・しかし,制作会社からしつこく頼まれ,仕方なく引き受けたが,60年代風の古くさ いアクション映画にならないように,全員新人を起用するという当時では考えられな いような提案をしたそうだ。 「林權澤(イム・グォンテク)は語る《映画・パンソリ・時代》」 福岡ユネスコ協会[編] 弦書房 680円+税 2015年 ・キム・ドゥハン(金斗漢)と対決する本町(今の忠武路)林組の親分林(はやし)は, 実際は,朝鮮人ソヌ・ヨンビン(鮮于永彬:解放後,建設協会副会長を務めたという) であり,彼の手下たちもほとんどが朝鮮人だったそうだ。 (韓洪九(ハン・ホング)の韓国現代史−韓国とはどういう国か 2003年 平凡社)