輝国山人の韓国映画
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製薬会社の常務理事として多忙な日々を送るユン・ギジュンは,ある日漠然と故郷のムジン(霧津)を訪れる。軍事政権下でありながら経済発展が続くという混乱した1960年代の不条理と倦怠感が描かれた作品

富と権力を持つ家の婿となったユン・ギジュン(シン・ソンイル)は,自分の成功を内心喜んでいる。妻の実家の助けで一躍出世することで,妻や妻の父をはじめとする妻の家族たちの顔色をうかがって生きなければならないことは好ましくないが,正常な方法では掴むことができない出世の機会を得たという事実で,すべてのことを慰安している。

何日か後に開催される株主総会で,妻の父が経営する製薬会社の専務に就任するキジュンは,ふと自分が貧しく育った故郷のムジン(霧津)に会いたいという衝動を感じる。海でも農村でもなく,名産物は霧しかないムジン(霧津)は,人々の世俗的な欲望を満足させるものが一つもない所で,兵役忌避者であり,肺病患者であった過去の自分を思い出させる。

漠然と故郷を訪れたキジュンを,中学後輩のパク先生(キム・ジョンチョル)が訪ねて来て,二人は,ユン・ギジュンと同様にムジン(霧津)出身の中で最も成功したという税務署長チョ・ハンス(イ・ナックン)に会いに行く。

キジュンは,そこで偶然に中学校の音楽教師をしている幼なじみのハ・インスク(ユン・ジョンヒ)に再会する。大学時代にはオペラ歌手を夢見たインスクは,希望が全くない田舎学校の音楽教師となり,同僚教師たちの酒席で流行歌を歌うなど,無為に過ごす自分の境遇を非常に苦々しく思っている。

インスクは,そんな折りに偶然に再会したキジュンならば,現在の生活から抜け出させてくれるという期待感を持つようになり,キジュンもインスクに憐憫の感情を感じる。インスクは,ソウルの学校へ異動できるように頼み,キジュンは,頼みを聞いてあげる約束をする。

インスクは,苦しい日常から抜け出せる手段としてキジュンという男を受け入れているが,キジュンは,自分が何か助けを与えることができて,そういう感情を持つようになることが愛だと感じている。

しかし,ソウルの妻から急いで戻るように連絡を受けたキジュンは,改めてインスクとの出会いを振り返ってみる。インスクを助けながらずっと関係を持つならば,やっとのことで掴んだ現在の位置から,抜け出そうともがいた苦しい過去に戻ることになるという事実を冷静に直視する。結局,キジュンは,ムジンで体験したインスクとの出会いを少しの間の思い出と感じて,ソウルの妻の元に帰る。

[制 作 年] 1967年 [韓国封切] 1967年 [観覧人員]  [原 題] 霧 안개 [英 語 題] The Foggy Town Mist [原 作] キム・スンオク(金承ト)の短編小説「霧津紀行」 [脚 色] キム・スンオク(金承ト) [監 督] キム・スヨン [第50作] [撮 影] チャン・ソクチュン [照  明] ソン・ヨンチョル [音 楽] チョン・ユンジュ,パク・ソギン,チョン・フニ,イ・ボンジョ(李鳳祚) [出 演] シン・ソンイル   → ユン・ギジュン(尹基俊) 製薬会社 常務理事    ユン・ジョンヒ   → ハ・インスク 中学校 音楽教師      キム・ジョンチョル → パク先生 キジュンの中学後輩      イ・ナックン    → チョ・ハンス 税務署長 キジュンの中学同期      チュ・ズンニョ   → 叔母 イ・ボクスン    イ・ビナ      → ユン・ギジュンの妻      キム・シンジェ   → ユン・ギジュンの母      イ・リョン     →       チュ・ボン     → 警察官      イム・ヘリム    →      パク・イル     → [受 賞] 1967 第14回 アジア映画祭(東京)/作品賞,監督賞    1967 第6回 大鐘賞映画祭/監督賞,編集賞(ユ・ジェウォン)    1968 第4回 韓国演劇映画芸術賞/映画新人賞(ユン・ジョンヒ)    1968 第11回 釜日映画賞/最優秀監督賞,新人女優賞(ユン・ジョンヒ) [時 間] 78分 [観覧基準] 青少年観覧不可 [制 作 者] キム・テス(金泰洙),ファン・ヘミ [制作会社] テチャン(泰昌)興行 [ビ デ オ] 日本発売なし [レンタル] なし [H P]  [撮影場所]  [挿 入 歌] イ・ボンジョ(李鳳祚)の「霧」 [Private ] K-DVD 【74】        韓国映像資料院 キム・スヨン監督 コレクション(日本語字幕あり)         浜辺の村(1965年)         霧(1967年)         ある女優の告白(1967年)         夜行(1977年)          コメンタリー キム・スヨン(監督),チョン・ソンイル(評論家) [お ま け] ・ムジン(霧津)は,韓国語で「霧の渡り場」の意味であるが,実在しない地名だそうだ。       ・映画の中では,「全羅南道 スンアン(順安)郡 ムジン(霧津)邑」となっている。


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