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長雨

朝鮮戦争の民族分断の悲劇を,ある村の一つの家に同居する二人の祖母の対立に集約して描き切り,異彩を放つ感動の力作

朝鮮戦争の余波で,母方の外祖母の一家が,ソウルからナムド(南道)の村のトンマンの家に疎開し,同居することになる。

長雨(チャンマ)の雨が降りしきる日の夜,共産軍の掃討に出陣して戦死した息子キルチュンの想いに浸っていた母方の外祖母は,たたきつける雷に向かってパルゲンイ(赤)を総なめにして行けと怒鳴りつける。

外祖母の不機嫌な叫び声は,父方の祖母の神経に触る。祖母の次男であり,トンマンの叔父であるスンチョルは,左翼のパルチザンだったからだ。このことで祖母と外祖母の間には,冷戦の気流が流れる。

そんなある日,トンマンが,叔父が家に寄って行ったという事実を見知らぬ男に口外し,父が刑事に捕えられる事件が起こる。

その頃,パルチザンが町を襲撃して全員が射殺される事件が発生し,トンマンの父は,叔父が死んだと断定する。

しかし,祖母はこれを信じようとせず,ムーダン(巫女)を訪ねて行って息子が生存しているということと,家に戻る日を聞いてくる。

ムーダン(巫女)が話した日,外祖母は,食べ物を用意して叔父を待つが,叔父の代わりに青大将が一匹,家へ入ってくる。

外祖母は,青大将を叔父の魂だと考えて魂を慰める。すると青大将は,家をぐるぐる回って門の外で消える。このことを体験した後,祖母と外祖母は,和解する。

[制 作 年] 1979年 [韓国封切] 1981年5月14日 [観覧人員]  [原  題] チャンマ(長雨) 장마 [英 語 題] Rainy season [ジャンル] 反共,分断 [原 作] ユン・フンギル(尹興吉) [脚  本] ユン・サミュク(尹三六) [監  督] ユ・ヒョンモク [助 監 督] ソク・トウォン,パク・ホジン、イム・ジェボク [撮 影] ユ・ヨンギル [照  明] キム・テソン [音 楽] ハン・サンギ [美 術] チョ・ギョンファン [出  演] ファン・ジョンスン → 外祖母 トンマンの母方の祖母    イ・デグン     → キム・スンチョル(金順哲) パルチザン 祖母の息子    キム・シンジェ   → 祖母 トンマンの父方の祖母    キム・ソックン   → キム・スング(金順求) トンマンの父    ソヌ・ヨンニョ   → スングの妻 トンマンの母    パク・チョンジャ  → 叔母 スングの妹    チュ・ヘギョン   → キルチャ トンマンの母の妹    カン・ソグ     → キルチュン(吉濬) 小隊長 サッカー選手 外祖母の息子    チェ・ヨンウォン  → トンマン スングの息子    キム・ドヒ     → トンマンの友だち 女の子    キル・ダロ     → 共産党幹部    キム・グァンイル  →     パク・キス     → 刑事    カン・ヒ      → ヨンボムの妻    キム・ヨンスク   →    キム・スンナム   →    キム・ギボム    →    サ・ウォンベ    →     パク・ピョンギ   →    チェ・ヨンス    →    イ・ジョンエ    →     ナ・ジョンオク   → 村人    ソン・ジョン    →     チェ・サム     → 村人    キム・ミンギュ   →    オ・セジャン    →     チュ・ボン     →     カン・チョル    →    ナム・ポドン    → 共産党幹部 [受  賞] 1980 第19回 大鐘賞/優秀作品賞,撮影賞       1980 第4回 黄金撮影賞授賞式 撮影賞 銀賞 [映 画 祭] 1980 第4回 サンパウロ国際映画祭 出品 [時  間] 114分 [等  級] 15歳以上 観覧可 [制 作 者] ソ・ジョンホ  [制作会社] ナマ(南亜)振興株式会社 [ビ デ オ] あり [レンタル] あり [Private ] Jd-8Video       K-DVD 【75】        韓国映像資料院 ユ・ヒョンモク コレクション(日本語字幕あり)         あなたと永遠に(1958)         金薬局の娘たち(1963年)         終列車で来たお客さん(1967年)         長雨(1979年) [お ま け] 福岡市総合図書館 所蔵作品      ○韓国映像資料院 ユ・ヒョンモク コレクション より       ユ・ヒョンモク映画の形式主義的スタイル         アン・ジェソク 韓国映像資料院客員研究員       <チャンマ(長雨)>         ユン・フンギルの同名小説を原作にした<チャンマ(長雨)>(1979)は,        分断が持ってきたイデオロギーの対立をサドン(査頓:結婚した両家の親どう        し)である一つの屋根の二つの家族の葛藤と和解の過程で描き出したユ・ヒョ        ンモクの後期代表作だ。         また,彼がデビュー以来,着実に整えてきたフォトジェニー(photogenie)        とモンタージュ美学が,いつのまにか完成の境地に到達したような印象を与え        る作品でもある。         彼の以前の作品に比べて,カメラの移動が非常に減った代わりに,韓国式家        屋の構造に対する深みのある理解を基に,登場人物を前景,中景,後景を活用        して位置させたり,横に長く垂らすパノラマショットがしばしば見えて,時々        人物を側面に置いて孤立感をかもし出すようにする脱中央化構図も目につく。         もちろん,彼が好んで使う方式であるフレーム左右に柱や木のような被写体        をかけて撮って,人物の弱気で危険な面々を見せたり,マル(板の間)の下の        方や門,戸のような「フレームの中のフレーム」を利用した画面構図も,やは        り,はるかに多様で効果的な方式で駆使されている。         母方の叔父(カン・ソグ)が隠れている竹林の斜線は,監獄の窓の桟のよう        なイメージで<金薬局の娘たち>でも似た意味で使われたことがあるが,この        映画では,イデオロギーの対立角である父方の叔父(イ・デグン)との,近い        けれども互いに簡単に和合できない境界(38度線)を象徴したりもする。         このような境界のイメージは,外祖母(ファン・ジョンスン)と祖母(キム        ・シンジェ)が対話をしたり,言い争いをする時,常に彼らの間を分けている        マル(板の間)の欄干の例でも探すことができる。         それだけでなく,映画でずっと粘り強く降るチャンマ(長雨)の雨,雨水が        あふれる井戸のまわりの桶,ますます増える河水など,この映画で唯一たくさ        ん登場するインサートショットは,単純に場面の推移の役割だけをすることな        く,時代の痛みと登場人物の内面などを暗示して,感情をきちんと蓄積させる        機能をする。         モンタージュが,やはり卓越している。息子の死を予想して気が狂ったよう        にでたらめにしゃべって,豆をむく外祖母と,マル(板の間)の床にまかれる        赤い豆,風間にさっと消える灯火,これをつくづくと見守る幼いトンマン(チ        ェ・ヨンウォン)などが,コントラストが強い表現主義的な照明の下,多様な        サイズ,多様なアングルでモンタージュになる場面は,ミザンセーヌ(Mise-en        -scene)とモンタージュの微妙な調和とともに極度の緊張感を造成し,感情の        動揺を起こす。         特に,人民軍が村に入ってくる場面で,突然画面いっぱい赤い色の旗に直転       (straight cut)させたモンタージュは,赤い色自体の強烈な印象とともに強い        層隔(幾重にも遮られること)効果を発揮する。


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