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風吹く良き日

それぞれの夢を抱いて田舎からソウルに出てきた若者たち3人の彷徨の物語。
 大麻草喫煙嫌疑で監督職を剥奪されたイ・ジャンホ(李長鎬)監督の映画界への復帰第1作であり,80年代の韓国映画の新しい波の先駆となった作品。

トッペ(アン・ソンギ)は中華料理店(東華楼)の出前持ち,チュンシク(イ・ヨンホ)は床屋の洗髪係,キルナム(キム・ソンチャン)はラブホテルのボーイと,それぞれソウルの場末の開発地域であるカンナム(江南)のソンゴク(成谷)洞で仕事を得て生きている。

そして,夜になると屋台で焼酎を飲みながらお互いの日々の鬱憤をはらす毎日である。

しかし,三人は,自分の未来について無感覚だ。

また,彼らは,楽しく飲み交わす酒以外にも,キルナムは美容師チュノク(チョ・ジュミ)を,チュンシクは髭そり師ミス・ユー(キム・ボヨン)が好きで,この町を離れることができない。

純朴なトッペもチュンシクの妹で九老工業団地の女職工チュンスク(イム・イェジン)に慕われながら,上流社会のミョンヒ(ユ・ジイン)という女に惹かれている。

[制 作 年] 1980年 [韓国封切] 1980年11月27日 [観覧人員] 100,228人 1980年 第3位       (韓国映画データベース 年度別ボックスオフィス) [原 題] 風吹く良き日 바람불어 좋은날 [英 語 題] Fine Windy Days  Good Windy Day [原 作] チェ・イルラム(崔一男)の小説「私たちの蔓」 [脚 本] イ・ジャンホ [監 督] イ・ジャンホ [第5作] [助 監 督] ペ・チャンホ [撮 影] ソ・ジョンミン [照  明] マ・ヨンチョン [編  集] キム・ヒス [音 楽] キム・ドヒャン [美 術]  [出 演] アン・ソンギ    → トッペ(徳培) 中華料理店の出前持ち 写真(右)     イ・ヨンホ     → チュンシク(春植) 床屋の洗髪係   写真(中)     キム・ソンチャン  → キルナム(吉南) ラブホテルのボーイ 写真(左)    イム・イェジン   → チュンスク チュンシクの妹 女職工     ユ・ジイン     → ミョンヒ 金持ちの娘     キム・ボヨン    → ミス・ユ(兪) 髭そり師     キム・ヒラ     → チョ・チャンホ 中華料理店 店員 トンファ(東華)楼     チョ・ジュミ    → チュノク 美容師 キルナムのガールフレンド     ペク・ソン     → 中華料理 店員 トンファ(東華)楼     パク・ウォンスク  → 中華料理店 女主人 トンファ(東華)楼     チェ・ブラム    → キム会長     キム・インムン   → イ氏 屋台主人     ムン・テソン    → キム会長の部下     キム・ヨンエ    → イ氏夫人 屋台     イ・ヒャン     → 老人 キム会長に土地を奪われた老人     カン・ヒ      → チョ・チャンホの妻     チュ・ソクヤン   → 中華料理店 男主人 トンファ(東華)楼    シン・ブヨン    → ミョンヒ家の家政婦    パク・チェホ    → 中華料理店 店員 トンファ(東華)楼    イム・ジンテク   → 棺輿客       字幕外       ピョン・ウニョン [受  賞] 1980 第19回 大鐘賞映画祭 最優秀新人賞(アン・ソンギ)/監督賞/編集賞     1981 第17回 百想芸術大賞 大賞/作品賞/男子新人演技賞(キム・ソンチャン) [時 間] 113分 [等 級] 18歳以上 観覧可 [制 作 者] イ・ウソク   [制作会社] (株)トンア(東亜)輸出公司 [ビ デ オ] なし [You Tube] https://www.youtube.com/watch?v=GVHZTDG_Zxg [Private ] 1999.04.07 シネラ       2022.04.13 シネラ       KMDb [お ま け] ・ビデオは,発売されていないし,なかなか見る機会がない(やっと見れた)。     ・チュンシク役のイ・ヨンホは,イ・ジャンホ監督の弟。      ・福岡市総合図書館 所蔵作品       ・韓国映画を代表する名優        安聖基(アン・ソンギ) 上演作品        (福岡市綜合図書館 映像ホール シネラ 1999年4月)      ・通常上映 韓国映画特集       図書館収蔵の80年代以降の韓国映画の特集 上演作品        (福岡市綜合図書館 映像ホール シネラ 2022年4月)       韓国映画データベース(KMDb)より引用       ノート       ・1980年に政権が交替した時期、高度な成長の中で発生した社会的矛盾を疎外された若者た        ちを通じて写実的に描き出したブラックコメディの秀作      ・<風吹く良き日>は、高度成長の裏面に貧困と疎外が共存した社会現実を背景にしている。      ・この映画が、クァンジュ(光州)民主化運動が起きて、チョン・ドゥファン(全斗煥)が        大統領になったまさにその時期に作られたというのは、非常に意味深長だ。      ・イ・ジャンホ監督は、大麻草事件で活動が停止した4年間、農村文学に心酔したし、社会        現実を反映する本格的なリアリズム映画を作ろうという欲望を持つようになったと回顧し        ている。      ・1980年、都市は開発されて発展しているけれど、その裏面で疎外されて自分の土地を奪わ        れた人々を見せることによって、高度成長する社会構造の矛盾と階級意識を表わしている。      ・劇中トッペがミョンヒを通じて上流階級に会うが、結局もてあそばれたに過ぎなかったと       いうことを悟って、最後に同じ階級のチュンスクの手を握ってキルナムを見送る場面は、       彼らの階級意識をよく表している。      ・ブラックコメディのジャンルに入いるトッペのたどたどしいせりふは、彼らの大変な現実        をさらに真実に悲痛に表わしてくれる。      ・トッペは、“辛抱して生きなくては。見ても見なかったように、聞いても聞かなかったよ        うに、言いたくても聾唖者であるように。”と話す。       ・しかし“新しい風が吹く。吹く。風が吹く。私の夢も膨らんでくる”という歌を背景に、        倒れても起き上がりこぼしのように起きるトッペのボクシング場面は、最後握りしめた悲        劇的希望を聞かせる。      ・情感ある個人の人生を通じて時代の現実を込めた<風吹く良き日>は、チョン・ドゥファ        ン(全斗煥)の3S政策で、エロ物と純情メロー物で綴られた80年代の韓国映画において        大切な存在ということができる。       制作後日談      ・ペ・チャンホ監督が、助監督を担当した。      ・<風吹く良き日>は、1974年の<星たちの故郷>で大ヒットを打ったイ・ジャンホ監督が、       1976年の大麻草疑惑で活動が停止して派手に再起した作品だ。      ・1957年のキム・ギヨン監督の<黄昏列車>の子役でデビューしたアン・ソンギは、学業と       軍服務でしばらく活動を中断し、この作品で復帰して成人俳優への転換に成功する。      ・彼はこの映画で、1959年以後21年ぶりに大鐘賞新人賞を受けた。      ・キルナム役のキム・ソンチャンは、1999年の辺境地探険放送プログラム撮影中にマラリア       にかかって他界した。      ・チュンシク役のイ・ヨンホは、イ・ジャンホ監督の実の弟でもある。      ・イ・ジャンホ監督は、弟の大学授業料で<星たちの故郷>の版権を買ってしまい、以後、       この映画に弟を俳優として出演させたという。      ・イ・ヨンホは、映画勉強のためにアメリカに留学したが、以後、残念なことにほとんど       視力を失った。      ・当時、劇場の企画室長を受け持っていたキム・チョンニュル氏によれば、<風吹く良き       日>のポスターにユ・ジインのスカートが風になびく場面が入っていたが、題名の下に       ‘性器全露出映画’と広報文面を付けたという。      ・広報チームは、子役だったアン・ソンギが成人として露出する最初の映画だったためにこ       ういう文句を入れたと解明したという。      ・チェ・イルナムの小説『私たちの蔓』を原作にしたこの映画の脚色は、実際に詩人であり、       小説家であるソン・ギウォンが完成したという。      ・しかし、捜査機関を避けようとしたソン・ギウォンは、自分の名前を入れない方が良いと       思うと言って、クレディットから名前を抜いたという。      ・彼は、結局、国家保安法違反の犯罪で収監された。      ・1980年のクァンジュ(光州)民主化運動が起きた時期で映画検閲が厳格になったが、小説       家パク・ワンソの支持で、長時間の検討のはてに奇跡的に一場面も切られなかった。      ・ただ、主人公が友だちの入隊を控えて、酒に酔って口ずさむ歌の言葉に“ヨンジャを呼ぼ       うか、スンジャを呼ぼうか、ヨンジャもよくて、スンジャもいいね。テンカデン!テンカ       デン!”の中で、チョン・ドゥファン(全斗煥)の夫人イ・スンジャの名前を連想させる        スンジャという部分だけ切られたという。      ・当時、広報のために<風吹く良き日>の観客酷評を公開募集したが、その時、優秀酷評に       当選した学生のなかに、ソウル大学校に在学中だったファン・ギュドク監督がいたという。      ・この映画に初めて会う観客ならば、ほとんど10人に近い主要登場人物が、各自の名前と       性格、ストーリーを持ったままランニングタイム中、ずっと確実な存在感を吹きだすとい       う事実に先に魅了されることで、それぞれのプロットがどれくらい精巧にからまって多様       な和音を作り出しているのか直ちに感心して、すべて工事現場である映画中の背景が1980        年のカンナム(江南)一帯という事実に結局驚くだろう。        (ペク・スンビン映画監督、映画天国61号)


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