輝国山人の韓国映画
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お葬式を描いた作品なのに,「祝祭」。死を新しい生への出発と考えると,死も「祝」となる。老母の死により家族の不和や葛藤が解決する様を描く。
▼イ・ジュンソプは,40代の有名な作家。ある日,田舎の老母が亡くなったという電話を受け,家族とともにチャンフン(長興)に帰郷することになる。彼は,妻に預金をおろさせたり,喪輿を担ぐ男を手配したり,友人には訃報を知らせたりと,あわただしく故郷に向かう。
▼ところが,ジュンソプの到着前にいったん老母は息を吹き返すが,結局臨終を迎える。そして葬式の準備が進められる。
▼しかし,5年を超えるぼけの末に87歳で亡くなった老母の死は,喪家に来た人々をそれほど悲しませないように見えるが,痴呆にかかった姑の世話をしてきた兄嫁の感情は,気楽さと愛惜が交差する。
▼老母の死によって生じた家族間の葛藤は,黒のサングラスをかけて濃厚な化粧をしたジュンソプの腹違いの姪(ジュンソプの兄の外娘)ヨンスンの出現で深くなる。
▼母の法事を通じてジュンソプの文学世界を再び照らし出す記事を書こうとする「文学時代」の記者チャン・ヘリムにとっては,そんなヨンスンが関心の対象であった。
▼しかし,葬式が進行するにつれて家族たちの葛藤は徐々に解け,社会的に出世したのに,おばあさんの世話しない叔父ジュンソプを恨んでいたヨンスンは,チャン記者が手渡してくれたジュンソプの童話(「翁草は,春を数えるかくれんぼ鬼なんだって」)を読んで涙を流す。
▼葬儀が終わり,一緒に記念撮影をする家族たちは,老母が残してくれた大きな愛と生の知恵を各自の胸中に大事に保管するようになる。
[制 作 年] 19 1996年 [韓国封切] 1996年6月6日 [観覧人員] 50,561人 1996年 第17位 (韓国映画データベース 年度別ボックスオフィス) [原 題] 祝祭 축제 [英 語 題] Festival [原 作] イ・チョンジュン (李清俊) [Producer] [脚 色] ユク・サンヒョ (陸相孝) [監 督] イム・グォンテク (林權澤)[第95作] [助 監 督] ナム・スンファン [撮 影] パク・スンベ (朴承培) [照 明] キム・ガンイル [編 集] パク・スンドク [音 楽] キム・スチョル [美 術] キム・ユジュン [武 術] [出 演] アン・ソンギ → イ・ジュンソプ 有名作家 オ・ジョンヘ → イ・ヨンスン ジュンソプの姪 ハン・ウンジン → おばあさん ジュンソプの母 チョン・ギョンスン → チャン・ヘリム 業界雑誌記者 パク・スンテ → ウェドン宅(テク) 長男の嫁 イ・グムジュ → チェ・ジヒョン ジュンソプの妻 キム・ギョンエ → クァンジュ(光州)姉さん ジュンソプの姉 ナム・ジョンヒ → ハムピョン(咸平)姉さん ジュンソプの姉 イ・ヘリョン → ハムピョン(咸平)兄さん アン・ビョンギョン → セマルおじさん 執事 キム・ギロ → ウロク先生 地官 チェ・ドンジュン → ドンパル イ・イェミン → ソン老人 ドンパルの父 イ・オル → ウォニル おばあさんの長男の息子 パン・ウンミ → ウォニルの妻 パク・ヨンジン → テソン ペ・テイル → スナム イム・ジンテク → チョンイル おばあさんの長男の息子 ホン・ウォンソン → ヒョンジャ おばあさんの長男の娘 シン・ソンイル → ヘグァン ミン・ギョンジン → パク社長 チャン・ギヨン → チャン院長 パク・チュンソン → オ詩人 ホン・スンギ → ホン教授 ハ・ドクソン → ソン・ギュシク キム・ジョング → テヒョン ソン・ジョン → 校長 チュ・ボン → 農協組合長 キム・ギボム → 面長 ユン・イルジュ → ソリクン 酔いつぶれた歌い手 ペク・チナ → ウンジ ジュンソプの娘 パン・ヨン → ヨンスンの父 おばあさんんの長男 チェ・ジヘ → 子役 イ・サラ → 子役 チャン・デスン → 子役 キム・ガヨン → 子役 キム・ビョンジェ → 友情出演 ペ・ジャンス → 友情出演 キム・ソクチュン → 友情出演 キム・ジェチャン → 友情出演 [歯科医師] イム・グムテク → 友情出演 ウェ・ヨンファン → 友情出演 ヤン・イルミン → キム・チョロン → アン・ジンス → おばあさんを助ける漁民 キム・ギョンラン → 料理の用意をする女 カン・ヒ → 村の女 イ・ソック → 泥酔して賭けをする男 キム・ギチョン → 村の男 帽子 キル・ダロ → ユ・イルガン → 客に酒を運ぶ親族 キム・ウソク → パク・クァンジン → パク・イェスク → おばあさんの娘 イ・ジサン → 柩の担ぎ手をしかる男 ホン・ドンウン → チョ・ハクチャ → パク・チェヨン → ユ・イルムン → 村の男 キム・デソン → [受 賞] 1996 第17回 青龍映画賞/最優秀作品賞,監督賞 1996 第16回 韓国映画評論家協会賞/最優秀作品賞,男優演技賞(アン・ソンギ) 1997 第33回 百想芸術大賞/監督賞 1997 第2回 KINOベスト10:キノ1996年韓国映画ベスト1、キノ読者1996年韓国映画ベスト5 [映 画 祭] 1996 アジアフォーカス・福岡映画祭'96 上映 [時 間] 107分 [等 級] 18歳未満 観覧不可 [制 作 者] イ・テウォン [制作会社] 泰興(テフン)映画(株) [ビ デ オ] シネカノン(15,000円) [レンタル] あり [撮影場所] 全羅南道、チャンフン(長興)郡 ナムポ(南浦)マウル,ソドン島 [You Tube] https://www.youtube.com/watch?v=PNXf_ibPc7o https://www.youtube.com/watch?v=Lh-DitjU6mY&list=PL28d5JImIlH4SFDOub4RArDlGy86aKNE5&index=15(4K) [Private ] J-DVD(イム・グォンテク作品集)【66】 [お ま け] ・音楽監督は,「鯨とり」にピョンテ役で出演したキム・スチョル(金秀哲) ・イム・グォンテク監督が,葬式を扱うこの映画の題名を<祝祭>とすること に固執した理由ついて,次のように述べられている。 (韓国映画データベース ホ・ナムン(映画評論家)/ 2014-02-10) ・旅立つ者にあって死は終わりかもしれないが,残った者には新しい出発と同 じだ。そのような脈絡から,死ぬということは悲劇でない。 ・イム・グォンテク監督が見るに,葬式は,互いに反目して争った家族構成員 が,これを契機に葛藤を解消して和解する場だ。 ・「翁草は,春を数えるかくれんぼ鬼なんだって」には,娘ウンジが父ジュン ソプに,「おばあさんは,なぜ年を取って背が低くなるの?」と尋ねる場面 が出てくる。 ・その時,ジュンソプは,「ウンジに年齢を一歳一歳分けてくれるから」とい う要旨の返事をする。 ・このように,イム・グォンテク監督にとって死は,終わりでなく,継続する ということだ。 ・それで葬式は,<祝祭>の場にならざるをえない。