後日談あれこれ

●その後の展開など

自分の書いたモノを読み返しているとたまに誤記や事実と違う記述を見つけて「げ,間違いじゃん」と焦ることがあります。なるべくそんなことがないように,自分でも怪しいところはウラをとってから書くようにしていますが,なかなか完璧というわけにはいきません。

誤字脱字の類はその都度直し,ちょっと付記しておいた方がいいかなと思うものは追記したりしています。一度書いたものに後で手を入れるのはあまり好きではないのですが,時にはこっそり改稿したもの(古い記事など)もあります。

また,LDを元にして書いたものはDVD版のリリースでいろいろ直したい部分も出てくるのですが,さすがにそれは泥沼に陥りそうで控えています。そうしたエネルギーは今後書くものに注ぎ込みたい。

さて,そういった補正とは別に「これについてはもう少し書き加えておきたいな」と思う事実が出てきたものもあります。今日はそういったネタの中から後日談としていくつか取り上げてみたいと思います。

●もっと光を!

僕はかなり目が悪いので自分の視力を基準にして苦情を言うことはできないのですが,それでも映画館のスクリーンの暗さについては疑問に思っていました。でも誰もそんなこと言わないから「きっと他の人にはこれできちんと見えているんだろう」と思うことにしていたのですが……。

雑誌「キネマ旬報」の2001年9月下旬号(1340号)に森卓也氏の「心強い話」という記事が載りました。まさにこのスクリーンの暗さを取り上げたもので,これを読んで目の前の霧が晴れるような気分になりました。

やっぱり日本の映画館のスクリーンは暗かったんだ!

そうだろそうだろ,と快哉を叫びたくなりましたね。いやーこれほど心強い思いをしたのは久しぶりです。THXの技師をして「暗い。アメリカでは考えられない」と言わしめたそうですからやっぱり暗いのでしょう。なぜ暗いのかというカラクリもわかって(ちょっと腹の立つ理由でした)いろいろ得心がいきました。

映画というのは言ってみれば「光」で出来ています。当然その映像は製作段階から厳密にコントロールされているはずですが,映画館とテレビやプロジェクター,あるいは印刷物で見る同じ画面の明るさや発色はずいぶん違います。媒体の違いは当然あるにしても,せめて劇場のスクリーンでは作り手の意図したそれであってほしいものですね。

●テーマソング・コレクター番外編

かつてのテレビっ子時代の後遺症もとい想い出にひかれてテーマソングのコレクションに励むようになった僕にとって,懐かしの海外テレビドラマのテーマ曲も当然その対象でした。そのエピソードをいくつか書いた直後,ありゃまあという展開があって自分でも驚きました。

その記事で僕が昔からずっと欲しいと思ってきた「ブロンコ」と「拳銃とペチコート」について触れたのですが,なんとふたつとも数日を経ずして手に入ってしまいました。

もっとアグレッシブに捜索すれば見つかりそうな気もする,と書いたのですが,ふと思い立ってインターネット上で探し回ってみたところ……あるんですね,これが。テーマ曲をmp3やwaveファイルで集めたサイトがちゃんと。

むしろ今までネット上で探してみようと思わなかった方がフシギですが,とにかくそういったコレクションサイトがアメリカにはあちこちにあるんですね。著作権はどうなってるんだーと言いたいところですが,きっと知らんぷりを決め込んでいるんでしょう。何しろサーチエンジン自体にそういったカテゴリーがあるんだもんなあ。

そうは言っても懐かしいタイトルが並んでいると誘惑に負けていろいろダウンロードしてしまいます。上記2曲はメロディーこそ記憶どおりでしたが,「ブロンコ」の方は記憶にあるそれよりだいぶのどかな感じでした。僕の想い出の中ではもっとマカロニっぽいカッコいいヴォーカルだったのですが,うーん,他のバージョンがあるのかなあ。「拳銃とペチコート」についてはまずまず記憶どおりでした。

ともあれ,長年欲しいな〜と思っていたものがあまりにもあっさり手に入ってしまったのでいささか拍子抜け,というのが正直な感想です。

●洋画劇場をふりかえる

サントラ関連でいまだに謎のひとつとされているものに日曜洋画劇場のエンディング曲があります。あれはコール・ポーター作曲の「SO IN LOVE」という曲ですが,番組で使われた演奏が誰の手によるバージョンなのかがわからないんですね。あまりに古いことなのでテレビ局側でもわからないとか。

その方面に詳しいマニアの方々のサントラ専門サイトでもいまだに(今は2001年末)それ以上の記述は見あたらないようです。あれを欲しいという人はずいぶんたくさんいると思うのですが,メーカーも発掘してくれないとはどういうことでしょう。

この演奏バージョンについては諸説あるのですが,僕は以前「あれは神津善行がクロード・フィリップ・オーケストラというユニットを組んで演奏したものだ」という説を聞いたことがあります。神津さんというと中村メイコさんの旦那さんですよね。あのヒゲの。真偽はともかく何となくしっくりくるイメージだと思ったものですが,当時一度ウェブ上で探したところではそういう記事はどこにもありませんでした。

思うに,この件について真実を知っている人とインターネットの利用者層はまるっきり違うのではないか,知ってる人はインターネットなどで発言しない層に属しているのではないかと思ったりしたものです。

で,ある時,思いついてJASRAC(日本音楽著作権協会)のデータベースにアクセスしてみました。著作権管理の元締めなら手がかりがあるかもと思ったのです。ダメ元でいきなり「日曜洋画劇場」というキーワードで検索してみると……なんと!

NET日曜洋画劇場テーマ OPENING THEME 日曜洋画劇場主題曲
権利者・作曲 神津善行

という結果が出たのでびっくり。よく見るとエンディングではなくオープニング曲のようですが,NETとあるからには淀川さんがやってた頃のあのオープニングですよね。あの曲とアレンジを思い出してみると,雰囲気的にエンディングと同じ人が担当している感じがあると思いませんか?サントラサイトを探してみるとクロード・フィリップ・オーケストラという楽団が実在したこともわかりました。映画音楽のレコードを出しているんです。

とすると,これは状況証拠としてはかなり真実味があると思うのですが,いかがでしょう?一般人の僕には神津さんに問い合わせるなんて機会はありませんが,度胸とコネ(業界への?)に自信があるどなたかが確認してくれるとうれしいなあ。むろん,当たりだったときはこの業界の長年の謎を解明した栄光はあなたのものです。(→その後