輝国山人の韓国映画
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キム・ヨンギル,ムン・イェボンなど,日帝強制占領期間の有名俳優が主役を演じ,当時としては珍しく,映画レコードも制作された。
日夏英太郎という日本の名前を持つ朝鮮人監督自らが,韓国と日本の2つの民族が,お互いを区別せず,一緒に豊かに暮らしていこうという<内鮮一体>を強調するために作ったこの映画は,暗い韓国近代史が残した恥辱的な傷といわれている。
日本人娘と植民地青年の愛の物語の中に,創氏改名をした朝鮮の若者たちが,天皇のために志願兵になるという内容を扱った作品
[制 作 年] 1941年 [韓国封切] 1941年11月15日 [観覧人員] [原 題] 君と僕 그대와 나 [英 語 題] You and Me [ジャンル] ドラマ,啓蒙 [原 作] [Producer] [脚 本] 飯島正、日夏英太郎=ホ・ヨン(許泳) [脚 色] [監 督] 日夏英太郎=ホ・ヨン(許泳) [助 監 督] [撮 影] 森尾鐵郎 [照 明] キム・ソンチュン(金聖春) [音 楽] 佐藤長助 [主 題 歌] 「よろこびの歌」「志願兵行進曲」歌:永田 絃次郎 [美 術] [武 術] [出 演] 永田 絃次郎 → 金子英助 朝鮮人志願兵 (キム・ヨンギル(金永吉)) シム・ヨン(沈影) → 木下太郎 ムン・イェボン → 木下太郎の妻 河津清三郎 → 浅野謙三 日本人志願兵 朝霧 鏡子 → 浅野美津枝 浅野謙三の妹 小杉 勇 → 久保良平 三宅 邦子 → 久保良平の妻 キム・シンジェ → イ・ベッキ(李白姫) 浅野美津枝の友人 (後に妊娠のため、キム・ソヨンと交替) ソ・ウォリョン → 金子英助の父 佳山貞子 → 金子英助の母 大日方博 → 訓練所の教官 チェ・ウンボン → 志願兵たち イ・グムニョン → 志願兵たち 山本正雄 → 志願兵たち キム・ヨンドゥ → 志願兵たち イ・ヒャンナン(李香蘭) → ソ・サミョン → ファン・ジョンスン → ソク・クムソン → キム・ジョング(金貞九) → 船頭 キム・ヨンイル(金英一) → [受 賞] [映 画 祭] 2011 第11回 チョンジュ(全州)国際映画祭 招請 韓国映画特別展(ホ・ヨン) 2016.2.3〜3.6 日韓国交正常化50周年記念 韓国映画1934-1959 創造と開化 福岡市総合図書館 映像ホール シネラ で上映 [時 間] モノクロ 24分(プリントの一部で全体の2割程度に当たる。)) [観覧基準] [制 作 者] 田中三郎、陸軍中尉 林得一 [制作会社] 朝鮮映画製作株式会社、朝鮮軍報道部 [制 作 費] [D V D] 日本発売なし [レンタル] [H P] [撮影場所] [M-Video] [Private ] なし [お ま け] ・題名そのままに,内地人である<君>と朝鮮人である<僕>が,民族を区分せずに, 堅く手を握って一つになって豊かに暮らしていこうという<内鮮一体>を強調した 代表的な宣伝映画で,朝鮮人志願兵1号として1939年に中国の山西省戦線で戦死し たイ・インソク上等兵をモデルにしている。 ・主演は,永田 絃次郎という名前で日本で活動した俳優兼オペラ歌手であるキム・ヨ ンギルが引き受け,ムン・イェボン,キム・シンジェ(後に妊娠のため、キム・ソ ヨンと交替),李香蘭をはじめとする朝鮮と日本,満映の大スターが総動員された。 ・監督の日夏英太郎(韓国名:ホ・ヨン(許泳))は,1908年に満州で生まれ,1920 年代中盤に密航して日本に渡り,日夏英太郎(ひなつ・えいたろう)の名前で日本 人として振る舞い,日本女性と結婚した。 ・1920年代の後半からマキノ映画に入り,1931年の映画<マキノ大行伝>で日夏英太 郎という名前で編集を担当し,1932年には,野村監督の<金色夜叉>の監督補助で 参加した。 ・そして,帰国後,内鮮一体を前面に押し出したこの映画<君と僕>(1941)を演出し た。 ・この作品は,朝鮮と日本で封切られた。 ・その後,太平洋戦争当時に日本軍が占領したインドネシアのジャワへ行き,日本軍 捕虜収容所を扱った宣伝映画<オーストラリアへ呼ぶ声>(1944)の脚本と演出を引 き受け,日本軍部の好評を受けた。 ・この映画のフィルムは,日本敗戦後,東京裁判の時に,検察側証拠としてに提出さ れるという曲折を経る。 ・日本の敗戦後は,帰国をあきらめ,「ドクター・フュン」という名前で,インドネ シアで映画教育を担当したり,1950〜51年の間に<天と地の間で(フリエダ)>, <レストランの花>,<スポーツをする女>などインドネシアの独立を称賛する映 画3本を演出した。 ◎ 日夏英太郎については,次の書物が詳しく解説している。 NHK 知る楽 テキスト 火曜日 歴史は眠らない 5月 韓流シネマ 抵抗の軌跡 語り手:李 鳳宇 映画プロデューサー 日本放送協会 675円+税 2009年 ◎ この映画<君と僕>については、次の書籍で解説されている。 日本統治下の朝鮮シネマ群像 《戦争と近代の同時代史》 下川正晴[著] 弦書房 2,200円+税 2019年 シネマスト許泳の「昭和」 植民地下で映画づくりに奔走した一朝鮮人の軌跡 内海愛子 村井吉敬[著] シバシン文庫5 凱風社 2,000円 1987年 映画で知るアジアのこころ アジア研究叢書5 佐藤忠男 佐藤邦夫 ほか[共著] 亜細亜大学アジア研究所 アジア書房 1,000円 平成3年 福岡市総合図書館 10307528 ◎ この映画<君と僕>に出演した李香蘭のエピソードついては、次の 書籍に記載されている。 李香蘭 私の半生 山口淑子・藤原作弥[著] 新潮社 1,600円 1987年 319頁