コレクターの明日はどっちだ?

うーん,ちょっとありがちなタイトルだったかな。

東映がリリースしている「東映テレビアニメ主題歌大全集」や「東映テレビ特撮主題歌大全集」といったシリーズは文字どおり究極のオープニング&エンディング特集である。その充実度はもうこれ以上何を望めようか,というレベルであって,その筋の方々には感涙ものだろう。

しかし,このシリーズは完璧なコレクションというものがもたらす独特の矛盾をコレクターたちに突きつけている。すなわち,個人の努力ではいかんともしがたいパーフェクトな内容をあっさりと実現してくれるため,もはやマニアやコレクターの営々たる収集努力など無用であることを思い知らされるのである。

コレクションというものの本質にはある種の"飢え"があり,満たされぬ思いをふさぐために彼らは日夜収集作業に精励するのである。まだアレがない,まだこのタイトルが欲しい……。彼らはおのれの孤独な営みを一挙に完成させてくれる夢のソフトの登場を待ち望んでいるが,いざそれを目の当たりにすると複雑な思いにとらわれることになる。夢のソフトはコレクターの存在意義を失わせてしまうのだ。

自分が長い時をかけて集めてきたものをはるかに超えるコレクションが誰にでも簡単に入手できるようになったのである。

ここに至ってコレクターの行く道はふたつに分かれよう。ある者はそのような時代をもどん欲に受け入れ,更なるコレクションの深みを目指して未踏の世界を目指すだろう。そしてある者は時代が自分に追いついたことを悟り,潔く一般人の暮らしに復帰する道を選ぶだろう。これも転機というものだ……ってそんな大げさな話でもないか。はは。

むろん僕はまだまだこの世界を楽しませてもらうつもりだ。肩の力はすっかり抜けているので気楽である。

そんなおり,この主題歌大全集のシリーズに新たな1枚が加わった。ほんとはその感想を書くつもりだったのだが,すっかり話がそれてしまったので別項に譲ることにしよう。