五輪映画は何処に

感情移入してます

今日は2000年9月23日,シドニー・オリンピック真っ最中です。何を隠そう僕はオリンピックTV観戦オタクなのであります。むろん,同時にオリンピック映像コレクターでもありたいので,この時期我が家のビデオ機器はフル回転しています。ああ,体育会系の血が騒ぎますなあ。

総合スポーツイベントとして冷静に楽しめればいいのですが,実際はそうもいきません。どうしても自国の選手やごひいきの選手が活躍する姿が見たい,という本音にはいかんともしがたいものがあるからです。

開会式以後,競泳や体操,サッカー,それに柔道などを見ていましたが,試合前ともなるとまるで自分が選手ででもあるかのように緊張し,心臓はバクバク,早鐘を打つごとしという状態。ああ,オレはオリンピックの中継を見ているだけで寿命を縮めているんじゃなかろうか,と思うくらいです。

自分で言うのもなんですが,感情移入が激しいんですね。

だから昨夜(9/22)の柔道男子100キロ超級みたいな事件があるととても冷静ではいられません。もう内心は罵詈雑言の嵐。でもまわりに誰もいないのでそれをぶちまけることができません。ストレスたまりますねえ。

さてちょっと心を静めて

スポーツというのは人間の文化としても一大ジャンルだと思いますが,映画でもよく取り上げられていますね。野球ものはたくさんあります。アメリカンフットボールやバスケットもありましたね。サッカーやアイスホッケーを扱ったものもあったし,フィギュアスケートものもありました。あれは「アイス・キャッスル」だったっけ?「クール・ランニング」なんて楽しいやつもあったなあ。

ところでオリンピックそのものを扱った映画もあるのですが,みなさんはいくつくらいご覧になりましたか?

歴史的名作といわれる「オリンピア」すなわち「民族の祭典」&「美の祭典」はつい先日もオンエアされていましたが,ベルリン・オリンピックのドキュメンタリーです。これはすごいですよ。安価な(当時としては)LDで出たときはうれしかったもんです。

NHKでこの映画の監督,レニ・リーフェンシュタールを扱った番組を見たことがありますが,彼女はこの時代のことに触れられるのがとても辛そうでした。ヒトラーに協力した,と弾劾された日々が忘れられないのでしょうね。以前LDで「映像の先駆者」というシリーズが出ていてそのうちの1枚が彼女の巻でしたが,機会があればぜひ入手をおすすめします。老境に入ってからの復活ぶりとかとにかく常人とは人生の密度がまるで違う感じ。天才の生涯というのはまさにドラマであります。

オリンピック映画はどこへ行った

「オリンピア」だけでなく,オリンピック映画には他にも有名な作品はいろいろあります。「東京オリンピック」があるし「白い恋人たち」も有名ですね。いずれも非常に個性的な作りで一見以上の価値があります。ともにLDが出ていましたが,後者は今DVDでもリリースされているはず。テーマ曲は超名曲ですね。

しかし,最近はこういったオリンピックのドキュメンタリー映画ってついぞ見ません。どうなっているんでしょう?

昔「札幌オリンピック」の映画が一般公開されたのは覚えています。明日公開という新聞の広告もおぼろげに記憶しています。しかしそれ以後のオリンピック映画,見たことがありません。オリンピック映画はどこへ行ってしまったんでしょうねえ。

実際には毎回公式記録映画というのが作られているのですが,なかなか見る機会がありません。まだ記憶に新しい(感動しましたね!)あの長野オリンピックにしても「オリンピック・グローリー」という公式記録映画が存在します。アイマックス仕様だそうですが当然地方在住の身ではお目にかかったことはありません。悔しいなあ。

見た方の書込みなどを読むとこれがなかなか素晴らしい出来映えのようで,うらやましい限り。DVD市場もこういうタイトルが出てくるようになると成熟してきたと言えるんでしょうけど,さていつのことになるやら。

五輪映画よ我が手に来たれ

まあ,確かに今の観客はわざわざ劇場までオリンピック映画なんか見に行かないでしょうが,それでもせめてソフトだけでも出してほしいところです。昔から傑作名作の多いジャンルだし,歴史の記録としてもなまじのドキュメントよりよほど面白いと思うのですが。

試しに映画関係のデータベースで検索してみるとオリンピックあるいはOlympicというキーワードだけでも洋画邦画とりまぜずいぶんいろいろあることがわかります。

「メルボルン・オリンピックの記録/美と力の祭典」だとか「千九六○年冬季オリンピック大会/人類の希望と栄冠」とか「東京オリンピックへの道」とか,ああ,見てみたいなあ。どんなんだろう。こういうフィルムを死蔵させるのはもったいないですよね。

日本人のオリンピックに対する思い入れの深さには格別なものがあると思うのですが,であればこそ,ぜひともオリンピック映画のリリースを望みたいものです。テレビの前で熱狂したあの日のこと,日本選手の苦戦に拳を握りしめたあのときの悔しさ,体操やフィギュアの名花たちにひそかに憧れた思い出……オリンピックの記憶は人生の一部です。

だから4年に1度やってくるこの大祭の記録を手元にとどめておきたいと望むのは,僕にとっても,そしてあなたにとっても至極まっとうな願いなのです。

五輪映画の正々堂々の再臨を望みたいものですね。