夏のごあいさつ

ただいま休眠中

お暑うございます。暦の上ではもう残暑の季節なのですが,とてもとてもそんな生易しいことを言える毎日ではありません。日本の夏はすでに亜熱帯のそれになっているのではないかと感じますね。皆様,この時期いかがお過ごしでしょうか。

夏休みの人気映画には興味ありありなのですが,なにぶん最近は町の映画館まで出かける気力もないほど蒸し暑い日々,せいぜい友人に借りたり何かのついでに廉価版の棚から選んだ旧作DVDを時々見るくらいです。ROOM2以外の更新がなかなか進まないのはひとえに暑さで気力が萎えているからであります。

元々夏場は半死半生でひたすら涼しい季節を待つという人生訓の持ち主だったのですが,異常気象が常態化して熱帯・亜熱帯の夏が日本に引っ越してくるようになってからはもうこの時期はエアコン全開で死んだふりというのが恒例になっております。ふう。

そんなわけで,今日は暑中&残暑お見舞いがてら近況と小ネタでお茶を濁すことにします。あしからず。

もしかして転向しました

以前もこんなことを書いたことがあるのですが,実は最近ますます吹替え派になりつつあります。元々ガチガチのオリジナル原理主義者で洋画ソフトはノーカット・ノートリミング&字幕スーパーでなきゃダメじゃんという人間だったのですが,年のせいかな,近ごろはずいぶん軟化しました。

今は吹替えが楽でいいなあ,と本気で思います。実際のところ情報量だって字幕の何倍もあるわけですから話を理解しよう,ニュアンスまで知りたいと思えば字幕より吹替えの方がいいんですよね。圧倒的に。

もちろん役者さん本来の声でそれができれば何の問題もないわけですが,残念ながら大半の日本人にそれは無理。加えて字幕には長年の伝統もあるしスタイルとしても愛着はある……ということで我慢と自己正当化(僕はオリジナルの音声で鑑賞しているんだ〜)とカッコつけの産物としての字幕スーパーも健在なわけです。ちょっと暴論ね。

でもいいかげん自分に正直になってきたんです,最近。

やっぱり吹替えは楽。すごく楽。僕のように目の悪い人間にはこれを読んでいる大多数の貴方よりずっとらくちんなのです。吹替えでストーリーや台詞がよくわかったら次からは字幕で本人の声を楽しむというスタイルでもいいかなと,まあそんな風に最近は思っているのであります。

時々ダメダメなキャスティングもあるけど基本的に日本の声優さんは世界一と思ってます。そんなわけで,最近廉価版のDVDを買ってそれが吹替えなしの収録だったりすると「今日は字幕か,気合い入れて見なくちゃなあ」と身構えてしまう自分がいます。うーむ。

ただ壁の前で

最近はCGを初めとする映像技術の進歩でほとんどどんな絵でも作り出せるようになりました。その是非はともかく,ハリウッドの娯楽大作だととんでもなくすごい映像のオンパレードで目がくらみます。えらい時代になったもんだなあ。

でもって,そうなるとご承知のように合成合成また合成というわけでまともにセットを組んだりして撮影するやり方はだんだん少なくなってきました。ファンタジーやSFに限らず,ごく普通のドラマでもブルーバックやグリーンバックで撮影することが多いんですよね。

それ自体は以前からあった技術だけど,最近はそれがものすごーく徹底してきたんじゃないかな。先日「スカイキャプテン」のメイキングを見ていてそれが印象的でした。

あれは確かにそういうジャンルの映画だからブルーバックばかりの撮影というのも無理からぬこととは思いますが,それにしても実に徹底してましたよ。撮影風景のどのシーンを見てもセットなんてまるでなし。ブルーにしろグリーンにしろただののっぺりした背景だけでずーっと撮影してるってのはどんな気分だろうなあと思ったわけです。

特に役者さん。どのシーンもどのシーンもみんなセットも何もないところでとなると感情移入しにくいだろうなと想像したんだけど,実際どうなんでしょう?演じる側としてはストレスが溜まらないのかしらん?

それを補うのが想像力ってことになるんだろうけど,これからの役者さんは大変だなとちょっぴり同情してしまいました。それともこれこそが演技の原点であって,役者たるもの,まわりに何もなくても(北島マヤみたいに)幻を観客に見せてしまうくらいの気力でのぞむべしってことなのかな。

絢爛豪華なセットの中で演じていた時代の老優たちには感慨深いものがあるかもしれませんね。

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書物に積ん読があるようにDVDにも買ったままで一度も見ていないというタイトルがあります。実は昔のLDの中にも。今はそういったかわいそうなタイトルにちゃんと目を通してあげなくちゃと思いつつ,だらだらと暑さの前であえいでいる夏の日々なのであります。どちらさまもお元気で。

それではまた。