輝国山人の韓国映画陽山道（ヤンサンド）

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陽山道（ヤンサンド）

▼スドン（チョ・ヨンス）とオンナン（キム・サムファ）は，結婚を約束した仲だ。

▼ハニャン（漢陽）から帰ってきたキム進士の子弟ムリョン（パク・アム）は，オンナンに貪心（たんしん）を抱いており，内心スドンを不満に思うオンナンの母は，これを利用してキム進士の夫人と婚姻の約束をする。

▼しかし，これを受け入れ難いオンナンの父マクスェ（キム・スンホ）は，婚姻の贈り物に入っていた絹を燃やしてしまう。

▼ある日の夜，オンナンを強奪しようとしたムリョンを防いだスドンは，キム進士の下男たちに引きずられ，指を切られることになる。

▼見かねたスドンの母（コ・ソネ）とオンナンの父は，オンナンとスドンが野原でこっそりと婚姻式をあげられるようにしてあげて，オンナンとスドンは，村を離れて逃げる。

▼しかし，彼らは，初夜を過ごした後，彼らを追いかけてきたムリョンの下男たちに捕まって，スドンは，その過程でメットル峠の断崖から落ちる。

▼捕まって連れられてきたオンナンを発見したオンナンの父は，キム進士の下人チョプドルを誤って殺し，オンナンとオンナンの父は，獄に捕らえられる。

▼ムリョンは，殺人罪を見逃す代価としてオンナンとの婚姻を要求し，オンナンは，結局，婚姻を許諾する。

▼ムリョンが，オンナンを獄から出して，家まで送っているところに，追いかけてきたスドンは，ムリョンを殺そうとするか，オンナンが彼と婚姻することを知るや，失意に陥り，家に戻って首を吊って自殺する。

▼スドンの母と母方の伯父は，スドンの死体をオンナンの婚姻披露で通る道に埋める。

▼婚姻に出かけたオンナンが，墓のそばを通り過ぎる時，一行の足が地について離れず，スドンの母は，駕籠の外に出たオンナンを刺し，自分も自殺する。

▼オンナンは，スドンの墓まで這って行って，彼の墓場で死ぬ。

[制作年]　１９５５年 [韓国封切]　１９５５年１０月１３日 [観覧人員]　 [原題]　陽山道（ヤンサンド）　양산도 [英語題]　Yangsan Province [ジャンル]　時代劇／史劇，メロドラマ，新派 [原作]　 [脚本]　イ・テファン，キム・ギヨン [脚色]　イ・ウンバン [監督]　キム・ギヨン　[第２作] [助監督]　 [撮　　影]　シン・ヒョノ（申鉉浩） [照　　明]　チェ・ジン（崔進） [音楽]　ソン・ギョンリン [　唱　]　パク・チョウォル（朴初月） [美術]　チャン・ウンサン（張雲祥） [武術]　 [出演]　キム・サムファ　→　オンナン　　　　　　チョ・ヨンス　　→　スドン　　　　　　パク・アム　　　→　ムリョン　　　　　　キム・スンホ　　→　オンナンの父　マクスェ　　　　　　コ・ソネ　　　　→　スドンの母　　　　　　コ・ソルボン　　→　　　　　　　イ・ギホン　　　→　　　　　　　コ・イリョン　　→　　　　　　　チェ・リョン　　→　　　　　　　イ・ヨンオク　　→　 [受賞]　 [映画祭]　2016.2.3～3.6 　　　　　　　日韓国交正常化５０周年記念韓国映画1934-1959 創造と開化　福岡市総合図書館映像ホールシネラで上映 [時間]　９０分 [観覧基準]　１５歳以上観覧可　　 [制作者]　ピョン・スンジェ（邊順済） [制作会社]　ソラボル（徐羅伐）映画公社 [制作費]　 [ＤＶＤ]　日本発売なし [レンタル]　 [撮影場所]　 [Ｍ-Video]　 [You Tube]　https://www.youtube.com/watch?v=xmxYZ9rylhU [Private ]　K-DVD(ALL)【72】韓国映像資料院古典映画コレクション　　　　　　　映画紹介（韓国映像資料院長イ・ヒョイン）　　　　　　　　　　　　　　　　　映画資料集　　　　　　　・キム・ギヨン，キム・ギヨンを話す　　　　　　　・映画評論家キム・ジョンウォン，＜陽山道＞を話す　　　　　　　・写真資料集（スチールギャラリー）　　　　　　　・ポスター　　　　　　　・＜陽山道＞の遺失場面シナリオ　　　　　　　・出演陣および制作陣紹介　　　　　　　　　キム・ギヨン，キム・サムファ，パク・アム，キム・スンホ [おまけ]　韓国映像資料院古典映画コレクション（ＤＶＤ）　　　　　　　添付ブックレットから翻訳　　　　　　作品紹介　　　　　　　＜陽山道（ヤンサンド）＞(1955)は，キム・ギヨン監督の２番目の長編映画演出作　　　　　　　だ。　　　　　　　ところで，当時紙面に載せられた映画評判を調べると，この映画は，封切り当時，　　　　　　　識者からそれほど良い評価を得られなかったようだ。　　　　　　　例えば，ユ・ドゥヨンは，この映画について，悲劇性を生かそうとする監督の試み　　　　　　　が失敗に帰した「悪趣味の映画」と酷評していて，ホ・ベンニョンも，やはり似た　　　　　　　脈絡で，「国産映画の品位を堕落させた不誠実な作品」だと批判している。　　　　　　　事実，＜陽山道＞が描き出す下層民間の愛とこれを威嚇する上流層間の三角関係と　　　　　　　いうプロットは，＜春香伝（チュニャンジョン）＞のような古い説話や＜長恨夢＞　　　　　　　のような日本版新派劇など，韓国大衆文化を通じてあまりにも食傷ぎみに扱われて　　　　　　　きた素材であることは明らかだ。　　　　　　　また，人物演技の感情線が，まともに生かされていないとか。　　　　　　　象徴的ながらも脈絡と多少かけ離れたセリフと場面，性愛場面での誇張された人物　　　　　　　表情と演技は，当時の観客がこの映画に自然について行けなくさせた原因になった　　　　　　　りもしただろう。　　　　　　　特に，今日韓国映像資料院に残っているフィルムには，欠けている結末部（したが　　　　　　　って，今回のＤＶＤでも欠けているが，この場面の存在は，キム・ギヨン自身の生　　　　　　　前証言によって確認された）すなわち，空から一筋光と共にスドンが降りてきて，　　　　　　　オンナンと一緒に空に昇るという演出は，慣習的なリアリズムにひたっていた識者　　　　　　　には，もしかしたら自分たちを愚弄する処置と見えたかも知れないことだ。　　　　　　　しかし，アイロニー（皮肉）にも，今日の私たちには，当時の識者が批判する映画　　　　　　　の短所が，かえってキム・ギヨンの映画世界の本領と見える。　　　　　　　すなわち，ごり押し感動をばかにするような，あるいは悲劇を笑劇にしてしまうよ　　　　　　　うな不自然さと過剰が＜陽山道＞の場合に，わずかにその萌芽を芽生えさせただけ　　　　　　　であり，＜下女＞以後に本格化するということだ。　　　　　　　私たちは，何よりキム・ギヨン自身が，この映画の素材を説話から持ってきたし，　　　　　　　彼自身が最も愛着を持つ場面は，他でもない最後の場面という事実に注目する必要　　　　　　　がある。　　　　　　　要するに，キム・ギヨンは，この映画を写実主義でない幻想という観点で作ったの　　　　　　　だ。　　　　　　　もちろん，監督のこのような意図が，その意欲ほど映画の中でよく生かされている　　　　　　　とはいえず，ましてや，この映画を韓国映画史のいわゆる「傑作」の隊列に乗せる　　　　　　　ことは，より一層困難だろう。　　　　　　　それにもかかわらず，この映画は，今日，初期キム・ギヨンの映画世界を理解する　　　　　　　ことができる重要な端緒を提供している。　　　　　　　特に，この映画が，1960年に封切られた＜下女＞以前に演出されたキム・ギヨンの　　　　　　　８本の作品のうちで，残っている唯一の作品という事実を勘案すれば，＜陽山道＞　　　　　　　の価値は，より一層重要になるほかはないだろう。

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