マリリン・モンローと半魚人

■七年目の浮気■

これはクイズ番組向きのネタである。

マリリン・モンロー主演作でもっともキュートな映画はどれかと問われれば答えは人それぞれだろうが,僕にとっては「七年目の浮気」がもっとも可愛い。さえない中年男とグラマーでチャーミングな若い女の浮気とも呼べないムズムズを描いたこの作品,何度見てもモンローが魅力的だ。原題(The Seven-Year Itch)のItchというのはムズムズする欲望という意味。

この映画の中でトム・イーウェル扮するしがない中年男リチャードが同じアパートの悩ましいプロンド娘(モンロー)を映画に誘うシーンがある。臆病なリチャードにしては上出来だったが,このとき二人が見た映画というのが「大アマゾンの半魚人」である。

問題のシーンではこの映画の看板と「THE CREATURE FROM THE BLACK LAGOON」というタイトルが見える。日本では「大アマゾンの半魚人」のタイトルで公開された映画だ。半魚人が美女を抱きかかえているこの絵はたいへん有名なので見覚えのある人もいるだろう。僕のもっている初期版LDではサイド2の18分33秒あたりだ。

「七年目の浮気」の前年(54年)に作られたモンスターホラー映画の古典だが,この映画を見たモンロー扮するブロンド娘(役名がないんだよ〜)の感想がいい。いわく「あの怪物がかわいそう」「愛に飢えているのよ」だと。まるで頭の中にシュークリームが詰まっていそうな風情だが,実はそうではないことがラストにわかる。最良の形で。本当にチャーミングな愛すべき映画である。

そしてこのシーンの直後に,世界中の人が知っているあの有名な地下鉄の風でモンローのスカートが舞い上がるシーンが来る。

七年目の浮気 SF078-1179
発売元(株)レーザーディスク/パイオニア