今こそ完全版を望む 銀河鉄道999

■銀河鉄道999■

最近久しぶりに新作も公開された「銀河鉄道999」だが,その劇場版第1作は数ある松本アニメの中でも頂点に位置する名作だ。物語も演出も古典的ではあるが,その美しさ,クオリティ,感傷的であるがゆえの切ないロマンなど,テレビアニメに慣れた世代にはまさにぜいたくの極みでありごちそうであった。時に甘く,時に雄々しいこの映画は,誰が何と言おうと名作と呼ぶにふさわしい。

現在この作品はパート2の「さよなら銀河鉄道999」とカップリングでLDボックスとなっている。アニメファンでなくともそろえておきたいタイトルである。

さて,この劇場用第1作公開直前(79年夏),プロモーションのため松本零士氏はあちこちのテレビ番組に登場していた。僕はそのうちの1本を折良くビデオに録ったのだが,そのとき初めて見た本編の映像の美しさに胸が高鳴ったのを覚えている。

ところが,このとき流された映像のうち重要なシーンが2ヶ所,現在のLDには収録されていないのである。劇場公開時のフィルムにそれがあったか否かはもう記憶にないが,公開時に既にカットされていたような気もする。

LDではサイド3チャプター18の11分23秒あたり。惑星メーテル上でキャプテン・ハーロックのアルカディア号が奮戦しているシーンである。艦橋の外で舵をとるハーロックに迫る敵機。それを後続のクイーン・エメラルダス号が撃破する。本編ではこの後,鉄郎とメーテルのシーンに移るのだが,僕が見たキャンペーンのフィルムではその前にカメラはクイーン・エメラルダス号の下から船体をぐーっとなめていく。ここで1メートル以上の長さの大きなセルが使われたという記事を読んだ覚えがある。

これが本編にはない。

さらにその直後,ハーロックが参戦したエメラルダスに手を振って答礼するシーンがあった。彼がよくやる2本指を立てて顔の横で軽くふる,あの仕草である。おお,これだこれ,これがキャプテン・ハーロックだよ〜。

なんとここもないのである。どうして?なぜ?

キャンペーン用のフィルムが完成版でないのはわかる。BGMなども公開時とは違っていたからだ。しかしこのふたつのシーンを公開版に含めなかった理由がわからない。わずか数秒ではないか。

僕はこの映画が大好きである。だが,このシーンがカットされたことについてだけはいまだに納得がいかない。無念である。今こそ復活させて完全版としてリリースして欲しいものである。

見ることができないシーンを紹介してしまった。このページの趣旨に反するね。乞うご容赦。

銀河鉄道999 ギャラクシーボックス BELL-374
発売元(株)東映/バンダイ