好機到来光之円盤


LDソフトの値崩れが激しい。

これを書いているのは98年11月末だが,DVDのブレイク状態(いろいろ問題はあるみたいだが)を受けて,LDソフトの値引き販売はかつてないほど大々的に行われている。確かにパッケージソフトがLDからDVDへ移行するのは確実だが,アナログLPからCDに変わったとき以上に急速な交替がやってくるのかもしれない。

しかし,これは逆にチャンスではないか?

今のLDの値引き販売,これからコレクションを充実させようと思う人には思わぬ好機到来かもしれない。LDはもう過去のメディアと思って先鋭的なマニアはDVDに行っちゃったかもしれないが,日本の住宅の視聴環境を思えばクオリティ的にもLDで不足はない。

解像度がどうの,画像補正がどうの,SN比がどうのといったこだわりはマニアの楽しみかもしれないが,そのような些事−まちがいなく些事だよ−にばかり気を取られていては肝心の映画(それ以外のソフトでも同じ)を楽しむことが二の次になってしまうぞ。だいたいモニタとにらめっこしてちょいとノイズを発見しただけで鬼の首を取ったようにクレームを付けるんでは不毛だよ。

比較するのもヘンだが,ろくに創造的な使い方もせずにひたすらパソコンのチューンナップに明け暮れる連中と似ている。それで何をやっているかといえばベンチマークテストでハイスコアを出して喜んでいるわけだ。

マニアという言葉は尊称とも蔑称ともとれるのである。おおむねふたとおりの人種に分かれるからだ。キャリアを積むほど狭くなる者,逆にキャリアとともに間口を広げていく者。むろん後者を目指したい。

LDは少なくとも普通のテレビで楽しむ分には十分過ぎるクオリティを持っている。しかも中古でもまず画質は落ちない。値段は下がる一方。おまけに新品でさえ半年で値引きの対象になってしまう。メーカーは面白くないだろうが,ユーザーとしてはこの好機を逃すのはあまりにもったいない。

現在,CDの新譜と同じ値段で買える"映画"がごろごろしている。年に何十枚もCDを買うのが当たり前になっているあなた,映画だって買えるんだよ!30センチの美麗ジャケット付きでおうちのラックを豊かにしてくれる無数のタイトルが!

LDプレーヤーなんてビデオデッキと大差ない出費で買える。その見返りはまるで自宅のテレビが新品になったかと思うほど美しい画像とクリアなサウンドだ。これは初めて経験するとホントに感動するぞお〜。うわあ,うちのテレビってこんなにきれいだったんだ!しかも中古LDや新品LDの値引き販売はますます増えていく。

大事な映画のエアチェックテープ?もうそんなのとっておく必要はないよ。映画はおこづかいで買える時代になったのだ。