ファンの魂ここにあり

かつて日本でも大人気だったアメリカのテレビドラマ「奥さまは魔女」。いまだにこの国のどこかで再放送が続いているし,ビデオも好調だそうだ。そしてこの夏(今は98年6月)にリリースされる予定のLDボックスは僕自身も大変楽しみにしている。

自分が心から楽しんだ作品が息長く愛されているというのはうれしいことである。アメリカは映画だけでなくテレビシリーズでも夢の工場だったのだ。その「奥さまは魔女」についての徹底したガイド本が最近出版された。

ワニマガジン社刊の「『奥さまは魔女』よ,永遠に・・・」という本なんだけど,書店で手にとってそのあまりのすばらしさに感動してしまった。

すごいわ〜これ!!

なんという愛情!なんという徹底ぶり!なんという労力!かつてリアルタイムでこのドラマを見ていた世代にとっては「よくぞここまで……」と感極まってしまう出来ばえである。

ひとつの作品に愛情を捧げた書物は他にもいろいろあるだろうが,ここまですばらしいものには出会ったことがない。自分自身がこのドラマの大ファンだったので,この本にこめられた愛と暖かみと懐かしさにはただひれ伏して「ありがとう」と言うのみである。

ボリュームもたっぷりのこの本,内容はスタッフ・キャストなど関係者インタビューや全254話のエピソードガイド,写真多数(それも実にいい写真!)に作品にまつわるカルト的な裏話,日本版の声優キャストや50音順のタイトル一覧,キャラクターグッズの紹介まである。ないものはないという至れり尽くせりの充実度でもはやこの作品に関してこれほどの本は2度と出ないことを確信させる。

しかもね,装丁や各ページの作り込みがまたいいの!イラスト(あのドラマ冒頭のアニメのキャラクター覚えてる?)や各章扉のコメントなどファンにとっては隅から隅までうれしい作り。カバーも帯も大事にしよう。

よく「この本は○○ファンにとってのバイブルである」という表現が使われるが,真にバイブルの名にふさわしい1冊にめぐり会った気がする。一気に読むのがもったいない。

それにしても世の中は広い。著者はハービー・J・ピラトという人だが,人気作とはいえこれほどの本を生み出せるとはたいした奴である。日本語版のスタッフもいい仕事ぶりだ。好きな作品に対する愛情の深さという点では僕もちょっと自信があるのだが,久々に敗北感を味わったことを正直に認める気になった。まいった〜。

この夏のLDボックスが一段と待ち遠しくなってしまった。