A級映画ファン

映画ファンには「オレはB級ホラー映画ファン」とか「B級作品の方が好き」と公言する人が少なくない。B級にしろA級にしろ明確な定義があるわけではないからたぶんに気分的なものも混じっているとは思うが,僕はこの手の発言が嫌いだ。

へへへ,自分はそんじょそこらの自称映画好きとは違うんだぜー,本当の映画ファンってーのは一般の観客がミーハー気分で見に来る映画なんざ相手にしないのさ,例えばこんな作品知ってるかい?

自分は他人とは違う,いやはっきり言って自分は他人より優れている,と言いたげな卑小な精神を感じてうんざりしてしまう。

まるでA級(と称される)作品を評価するのはおのれのプライドを損ねるとでも言いたげな姿勢ではないか。間口の狭さを自分から宣言しているようなものだ。メジャー嫌いというのはおのれが小者であることを認めている人間のことだろう。

星の数ほど映画かあるなら同じようにたくさんの楽しみも転がっている。最初からそれを拒むなんてもったいないな。

さあ「A級が好き」とはっきり言おう。こうるさい映画ファンの友人は軽侮の目で君を見るかもしれないが,なに,そんな連中とはさっさと縁切りすればいい。そのうえで「もちろんB級も好きさ」と当たり前のごとく言ってやればよい。

多くの人が支持するA級大作は何が何でも批判しなければならないと思いこんでいる批評家気取りは単に矮小なだけである。大資本,大宣伝,アカデミー作品賞・監督賞ねらいの大作を一般観客と同じモードで楽しめるって幸せだよ。それは同時に君の懐の深さをも示しているのだし。

ただし「面白ければA級もB級も関係ない」という日和見な言い方は避けよう。これは結局はっきりA級支持を宣言するのが怖い小心者の証だ。ここはやはり決然と「A級が好き」と宣言しよう。むろんA級の定義なんてあやふやなもんだけどね。

A級大好きは決してB級大好きを妨げるものではないのだから。