工事中にて越年の記

気分は心を入れ替えた温泉旅館(の経営者)

ご覧のとおり,少し前から本サイトは工事中です。元々たいへん行儀の悪いHTMLを基礎とし,後は新規記事の度にそのまずい基礎をコピーするというやり方で増殖してきたので,いいかげん根本的な手直しが必要だとは思っていたのです。怠けもの故,手をつける踏ん切りがつかずにずるずるきてしまったのですが,長年の放置のツケは半端ではなく,ひーひー言いながら改築中です。

何と言いますか,これまでは建築基準法と旅館業法に違反したまま建て増しの増改築を繰り返してきた温泉旅館という感じでした。看板もだいぶ古びて化粧直しも必要かなといったところ。

具体的には文章の構造はHTMLで,装飾やレイアウトはCSSでという正しい作法を可能な限り尊重したいと格闘中です。例えば,引用を表すためのblockquoteタグをインデント目的で使うのはいけないとずいぶん前からわかっていたのですが,これ自分のページでは山ほど使ってたんですよねー。というかほとんど全ページで全領域にわたって使っていました。

これでは目の不自由な人のための読み上げツールは「以下は引用です」「以下は引用です」「以下は引用です」……となって困ってしまいます。人並み以上に目の悪い僕がこの点をほったらかしにしているのが気になっていました。今回やっとそれが解消できるのでホッとしています。

行儀作法見習い中

不勉強にして今までCSS(スタイルシート)でどんなことができるかほとんど知ろうとしなかったんですよ。今回初めてと言っていいくらいまともにリファレンスを眺めてみてその表現力と柔軟性に感心しています。

その時点で上記blockquoteも含めて単なる太字や色付けなど見栄えに関する部分は一切HTMLでは記述しないことにしました。レイアウトのためにtableを使うのも極力避けたい。今悪戦苦闘しているのは過去に大量に埋め込んだそれらのタグをつぶしていく作業です。それらもそれなりに規則性を持たせていれば置換ツールなどでかなり効率的に削除できるのですが,改めて見直してみると実に気まぐれかつ不規則に書き込んでいるのでもう墓穴もいいところです。ツールはあっても正規表現が苦手なので結局人力でやってます。ふう。当時の自分を蹴飛ばしてやりたいくらい。

それにしてもスタイルシートは面白いです。便利でもあります。うちのように同じ体裁のページがたくさん並んでいるサイトでは特に効果的ですね。工事が済めば,後はいつでもまとめていっぺんにレイアウトや見栄えの試行錯誤ができる……いやあ何を今更と言われそうですが,これはよくできた仕組みですね。見栄えというかデザインに関してはとりあえずプレーンなままで,後々少しずついじっていくつもりです。

作法といえば,普通は段落の頭で一文字分字下げするのが日本語の大原則ですが,ここではあえてそうしていません。僕も印刷物でならもちろん字下げしますが,ディスプレイで文章を読む場合のことを考えると,数行ごとに空行をはさむ形の方が見やすいと判断したからです。視力の弱い人間にとっては空行のない文章が十行も続くともう見通しが悪くなってしまいます。これは目の悪い僕自身の経験上の判断です。

その場合,今度はたった数行でひとまとまりですから頭で字下げすると凸凹感が目立って好きじゃないんです。こちらは好みの問題。まあそうしたわけでここではこんなスタイルになっていると思ってください。

たまには自己解説(自己弁護?)

ふりかえるとこのサイトももう8年か9年になります。その間ほとんど構造に手をつけてないのでは古くもなるわけですね。ひょっこりひょうたん島大統領のドン・ガバチョは大きなエピソードが終わると時々ドン・ガバチョ回顧録の執筆に勤しんでいました。部屋中にトイレットペーパーのような巻き紙を広げて筆をとっていたのを覚えています。

ここにはまだ回顧するほどの歴史はありませんが,せっかくの?工事中ですからたまにはサイトそのものについて書いてみることにします。

元々はWWWなるもののテストで立てたページです。僕は活字派でしたけど本の感想文じゃあまり面白くないのでもうひとつの趣味だった映画,それも主にビデオソフトのコレクション(当時はLDでしたね)をネタに雑文を書いてページのサンプルにしたのが始まりです。今までトップページのキャッチに「映像コレクター予備軍のための」と書いていたのはそんな理由から。あえて「予備軍」としたのは本格的なマニアには周知のネタばかりだろうと思ったから……だったかなあ。

メインのコンテンツはROOM2の名場面探索隊なんですけど,名場面をネタにその作品にまつわるエピソードや自分の思い出をなるべく面白く紹介するというのが本来の意図なので,データに関しては重きを置いていません。実際,これだけバージョン違いや再リリースが頻繁だとチャプターやら時間の記載はほとんど意味がありません。いくらでも変わってしまいますからね。

特にLD時代の記事に「早くDVD化してほしいものだ」とか「廃盤状態なのでLDプレーヤーをお持ちなら中古でも入手をおすすめする」なんて書いてあるタイトルは今じゃほとんどDVDでリリース済みですから明らかに古びてしまっているわけです。でもこれを直し始めるといよいよ泥沼なので,とりあえず中身はノータッチ。余裕があれば今後少しずつフォローしようかというところです。

スプーン一杯の誠意あります

今いちばん更新で滞りがちなのがROOM1のサプルメントマニアです。実は始めるときにはここが一番ネタが豊富だと思っていました。当時,僕のコレクションはLDユーザーとしてはけっこう充実してる方だとうぬぼれていたので,みんなの知らないおまけ映像の話題はいくらでもあるだろうと考えていたわけです。

確かに最初の頃はあれやこれやと書けたんですが,最近はちょっと事情が違います。サプルメント自体はあふれ返っているのにどうもみなワンパターンで特徴的なものが少ない気がするんですね。だから「おおっ,これはぜひ一筆書かねばー」と意欲がわくことが少なくなってしまいました。材料だけはいっぱいあるのにちょっと皮肉。

そこへいくとROOM3と4は比較的楽かな。気持ちよくなりたいあなたへというのは本当はもっとオーバーな表現を多用したどこぞの万歳同好会みたいなものを考えていました。ヨイショ専門コーナーですね。もちろん賛辞自体は本気。でもやってるうちにだんだん真面目になってきて今ではROOM2に書くには長過ぎる場合にROOM3に回すということも多くなってきました。

Pandora' Boxは最初もっと批判的なテイストの記事が中心になる予定でした。他のコーナーがベタ甘タッチなので,そのアンチテーゼ的なものを考えていたのかな。ここだけ色使いが逆転しているのはそういう意図だったのですが,いつの間にか映像関連のノンセクションという感じになってしまいました。

いずれにしろ心がけたのは「知ったかぶりをしない」ということと「裏を取る」ということです。自分で言うべきことじゃないんですけどね。とにかく本格的なマニアの知識って天井知らずなので,僕程度でえらそうなことをひけらかすと恥をかきそうだったし,面白いネタでも伝聞だけじゃ書けない。これは性分みたいなものかな。あやふやな部分はそれなりに裏を取らないと自分でオーケーが出せないタチなんです。

例えば,手塚治虫が語ったポルノ版ティンカーベルの話とか取り上げてみたかったんですが,元記事(確かキネ旬の連載)をどうしても発見できなくてボツにしたなんてことがありました。まあ,こんな拙いサイトでもデマは書かないってのはささやかな意地であります。

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そんなわけで,まだ当分は営業しながらその横で改築工事という騒々しい状態が続くと思いますが,苦笑しながらでも冷やかしにのぞいていただければ幸いです。それではまた。