おくさまは18歳の予告編に感涙

新シリーズにときめく

最近パイオニアからリリースが始まったスーパー・プレミアム・コレクションというシリーズ,未LD化のレアなタイトルぞろいで先が楽しみである。何しろその第1弾として出たのが「おくさまは18歳」なのだ,期待するなという方が無理ではないか。

おくさまは18歳!なんて懐かしい!なんて愛らしい!もう感涙である。

何をかくそう,僕は岡崎友紀の大ファンだったのだ。ああっなんてこった!ATOKには友紀という名が入ってないではないか!けしからんぞ!

愛しの岡崎友紀さま

LP時代のアイドルである彼女のアルバムはろくにCD化されていないが,アナログLPは今でも手放す気になれない。彼女は聡明なる体育会系中学生であった僕のトップアイドルだったのだ。なんで手放すことができようか。後世に残るヒット曲には恵まれなかったが,今でも数々のメロディは僕の中で生き続けている。

岡崎友紀というアイドルは美人顔ではないんだけど,コメディエンヌとして独特のキュートな魅力があった。メディアでの女子高生のイメージが退廃の輩と化す以前の,あこがれの元気で魅力的なお姉さんを体現していた。彼女扮するこのドラマの主人公,高木飛鳥はもう筆舌に尽くしがたいチャーミングなヒロインだったのだ。そもそも僕たち当時のファンにとって「あすか」という名はここから始まるのだ。

ああ,おくさまは18歳

で,このLDである。もう何もかも懐かしい,と某艦長のようにつぶやきたくなる。あまりにも懐かしく愛おしいので言葉が出てこないくらいだ。幸せなドラマである。見ていると口元がにへらにへらとゆるんでいることに気がついてしまう。できれば単発じゃなくLDボックスで出して欲しかった。

このLDには本編の第1話から第4話までと予告編,それにサプルメントとして現存する何本かの予告編が収録されている。僕も映像コレクターの端くれとして予告編というものにはいろんな思い入れがあるのだが,この「おくさまは18歳」の予告編は岡崎友紀その人がナレーションをつとめているので愛しさ千倍である。

テーマソングの出だしのフルートのパートがこの番組のイメージとしてとても強く残っているのだが,予告編でも同じ音楽が使われていて懐かしさに胸が痛むほどだ。幸せな時代,というより幸せも不幸もまだ本物に出会うはるか以前の想い出につながっている。これより古い番組にもいろんな想い出や懐かしさはあるのだが,好きな女の子と再会したようなこの愛しさはそれらにはない。

あまりにも懐かしい時代の心に直結しているので繰り返して見るのはためらわれるような予告編だった。僕にとっては,だけどね。

岡崎友紀本人はその後いろいろあったけど今では顔を見ることもない。けれどかつてこのドラマ見たさにどんな約束も振り捨てた僕たちにとって,高木飛鳥は永遠だ。たとえ芸能界の一線で活躍することはなくても,元気でやっていてほしいと願わずにはいられない。

やればできるじゃん

このLDにはもうひとつうれしいことがあった。ジャケットに記されている某評論家のコメントである。ちょっと長いけど引用させてもらおう。

「おくさまは18歳」を越えるラブ・コメディはいまだにない。その愛にあふれる設定,様式性,配役と演技のアンサンブル,スピード…すべてが完璧だ。一生見つづけても飽きることのない夢のような傑作である。

ああ,いいねえ,すばらしい。こうでなくてはいけない。愛する作品を賛美するとはこういうのを言うのである。映画評論家の肩書きは僕にとっては愛のない物書きとほとんど同義であるが,くだらぬ見栄のリミッターを外せばこんなすばらしい賛辞を寄せることもできるのだ。

臆面もなく,とは通常は口にしがたいセリフをヌケヌケと言ってしまうような場合に使われるものだが,好きな作品を前に愛を告白するにはそれこそが正しいやり方だ。

評論家よ,愛を語れ。