店のガラス戸の向こうに
懐かしい彼女が立っていた
「おっ!久しぶり」
「えっ!」
4年の月日は
彼女を素敵な女子大生に仕立て上げていた
「綺麗になったね」
「よく言うわ」
彼女と彼と 僕とあの娘と
あの頃の思い出が
映画の1シーンのように
モノクロで浮かんでくる
「どこに下宿してるの」
「六甲よ」
BGMに
千春の「銀の雨」が
僕の耳には聞こえてきたよ
「彼氏はできた?」
「ミケちゃんは?」
彼女が僕の隣りに立つ娘を
チラッと見て微笑む
残念ながらこの娘は違うよ
僕の片思い
「卒業できるの?」
「うっ・・・まぁね。就職も決まってるし」
もう学生もおしまい
いよいよ社会人か・・・
「お正月は帰るの?」
「うん、一度みんなで集まりたいね」
「そうね」
「それじゃぁバイバイ」
「バイバイ」
彼女と彼と 僕とあの娘の
思い出はエンドマーク
ささやかな偶然に
感謝
1981年12月8日
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