輝国山人の韓国映画
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青春の十字路

トンネルを抜けて、ソウル駅に進入した汽車から母娘の乗客が降りてくると,お客さんを待っていた一人の青年が近づいて荷物を運ぶ手助けをする。

彼の視線にそって田舎の情景が繰り広げられ,木がない丘の下に降りてくる韓服姿の男の姿が見える。この映画の主人公ヨンボク(永福:イ・ウォニョン)だ。

性分が馬鹿正直で優しいヨンボクは,ポンソン(鳳仙)家の入り婿になって7年間仕事をしたが,チュ・ミョング(朱命九:ヤン・チョル)にポンソン(鳳仙:ムン・ギョンシム)を奪われることになって,老いた母と妹を残したまま故郷を離れることになる。

その後,母が亡くなると,故郷に残っていたヨンボクの妹ヨンオク(永玉:シン・イルソン)もソウルに上京してくる。

兄を探して広い都市をさ迷って求めた働き口が,カフェの女給。ヨンオクは,同じ田舎から上京してきたミョングの術策にはまって,彼の友だちであるチャン・ゲチョル(張介轍:パク・ヨン)に身体を汚すことになる。

鉄道局所属の手荷物運搬員になったヨンボクは,ガソリンスタンドで給油仕事をするケスン(桂順:キム・ヨンシル)とつきあう。しかし,病気にかかった父と幼い弟を世話しなければならない境遇から借金に苦しむケスンは,金持ちの息子ケチョルにもてあそばれる身分になる。

この事実を知ることになったヨンボクは,ケチョルの家を訪ねて行って意外にも妹と会うようになって,自然にケチョルとの関係も知るようになる。

妹を困らせて恋人まで見下げるこの男に怒ったヨンボクは,ついに酒宴を催しているケチョル一党を訪ねて行って,こらえていた怒りの拳を振り回す。

平常心に戻ったヨンボクは,ヨンオクの祝福を受けてケスンと新しい出発を誓う。

[制 作 年] 1934年 [韓国封切] 1934年9月21日 [観覧人員]  [原 題] 青春の十字路 청춘의 십자로 [英 語 題] Turning point of the youngsters [ジャンル] ドラマ [原 作]  [脚 本] アン・ジョンファ [監 督] アン・ジョンファ(第3作) [助 監 督]  [撮  影] イ・ミョンウ [照  明]  [編  集] アン・ジョンファ [音 楽]  [美 術]  [武 術]  [出 演] イ・ウォニョン  → ヨンボク(永福) 手荷物運搬員      (李源溶)        シン・イルソン  → ヨンオク(永玉) ヨンボクの妹      (申一仙)       パク・ヨン    → チャン・ゲチョル(張介轍) 金持ち家の息子      (朴淵)       キム・ヨンシル  → ケスン(桂順) ガソリンガール      (金蓮實)       ヤン・チョル   → チュ・ミョング(朱命九)      (梁哲)       ムン・ギョンシム → ポンソン(鳳仙)      (文耕心)      パク・チェヘン  →       (朴斎行)      チェ・ミョンファ →       (崔明華)      チェ・ソン    →       (崔仙)      キム・ヨンエ   →       (金英愛)      ハン・スニム   →       (韓順任) [受 賞]  [映 画 祭] 2016.2.3〜3.6        日韓国交正常化50周年記念 韓国映画1934-1959 創造と開化  福岡市総合図書館 映像ホール シネラ で上映 [時 間] 55分 [観覧基準]  [制 作 者] イ・ヒョンウォン(李烔元) [制作会社] クムガン(金剛)キネマ社 [制 作 費]  [D V D] 日本発売なし [レンタル]  [You Tube] https://www.youtube.com/watch?v=pYjU0VDuWyo(一部) [H P]  [撮影場所]  [M-Video]  [Private ] なし [お ま け] ・韓国映像資料院「韓国映画100選」作品(2013年)       ・韓国に保存されている映画で最古の作品です。       ・韓国映像資料院は、2007年、戦後にタンソンサ(団成社)を運営していたオ・ギュファンの家族        から<青春の十字路>の硝酸塩ネガフィルムを入手し、復元作業を行った。         ・「ストーリーの起伏は少ないが、出演者の演技と撮影技法が軌道に乗っている」(朝鮮日報 1934.9.21)        と評された。          (韓国映画100年史 その誕生からグローバル展開まで 鄭j樺(チョン・ジョンファ)[著])       ・韓国映画データベース(KMD)で視聴することができます。(登録してログインする必要あり。)        https://www.kmdb.or.kr/db/kor/detail/movie/K/00101       ・この映画は、サイレント映画であるため、解説用の台本やこれに匹敵する資料がなければ、活動弁士        による口演はできませんが、この映画については、アン・ジョンファ監督が生前に記した「韓国映画        側面秘史」(1962年 春秋閣)にその内容が残されていたため、復元することが可能になったそうです。        (韓国映画100選 韓国映像資料院[編] 株式会社クオン[発行] 2019年 3,500円+税 より引用)       ・なお、「韓国映画側面秘史」(1962年 春秋閣)の邦訳版は、下記の書物です。         ○ 韓国映画を作った男たち 一九〇五−四五            安鍾路[著] 長沢雅春[訳]             青弓社 3,000円+税 2013年      ・上映時間は、24fps基準で55分だが、当時の映写速度(16fps)を勘案したランニングタイムは、概略        82分程度と推定されるそうです。         


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