テレビからピストルうにょ〜ん

■ビデオドローム■

いや驚いたのなんのってデビッド・クローネンバーグの「ビデオドローム」がこんなに面白い作品だったとは!

1度見ているはずなのにストーリーの方は完っ璧に忘れてしまっていた。ほとんど初対面の面白さ。いやあ,もうけものというか拾いものというか,これほど面白い作品をろくな印象も持たずに忘れかけていたとはね。かつての自分がいかに観客として未熟であったか痛感している。

さて「ビデオドローム」といえばクローネンバーグ監督の出世作。中でもテレビ画面から柔らかいピストルがうにょ〜んと出てくるシーンがとりわけ有名だ。今回そのシーンを確認するために再見したのだが,あまりに面白くて結局最後まで見てしまった。エロとグロと不条理を詰め込んだビデオ型玉手箱といった感じである。

問題のテレビからピストルがのびてくるシーン,LDではサイド2チャプター7の23分58秒あたり。このシーンに限らずリック・ベイカーの特殊メイクは見事だが,やはり監督の脅迫的妄想の勝利だろうと思う。えぐいな〜。ナニがアレしてどひゃーというイメージが露骨なんだもん。

それともうひとつ。身体を傷つけながらセックスすると燃える(らしい)危ない女の役をデボラ・ハリーが演じて話題になった。一応ヒロインというべきなのか?死の匂いのする女のイメージがなかなかよろしい。

実は僕にはプロンディのころの印象はあまりないのだが,彼女,先日のアメリカン・ミュージック・アワード授賞式(だったと思う。これを書いているのは99年3月末)の時に久々に歌手に戻っておばさんロッカーぶりを披露してくれていた。

予告編のクレジットを見ると彼女の名前だけラインで囲まれて目立たせてある。やっぱ人気ロックバンドの紅一点ボーカルがこんな変態オタク監督(失礼)の映画に出るんだから当然といえば当然か。ちなみに映画の中ではプロンドではないぞ。

ともかく今までほったらかしてきた自らの不明を恥じて「ビデオドローム」に千点!

ビデオドローム PILF-2546
発売元(株)パイオニアLDC