これがアタシのSFよー!

■タンク・ガール■

本に積ん読があるように,ビデオやDVDにも買った→安心→しまい込む→いつまでも見ない,という流れが存在する。僕は自前のコレクションにこだわる方だが,こういうケースが増えてくるとレンタルの有用性も実感できる。死蔵はコレクターの志に反するよ。ちゃんと見てあげなくちゃ。

そんなわけでつい最近棚から引っぱり出したタイトルのひとつが「タンク・ガール」である。

いや〜,これは楽しかった。今までほったらかしにしてて申し訳ないくらい。ジャケットからある程度は想像してたけど,こんなに元気でハレバレと楽しめる作品だったとは。お下品でエッチでパワフルで乱暴なヒロインがまことにけっこう。こういうのを快作って言うんだろうなあ。

時は近未来。でかい彗星との衝突で荒廃したマッドマックス風の世界を舞台に,貴重な資源と化した水をめぐって諸派入り乱れての大騒動。アタマはあんまり使わないが,思い切りのよさと行動力と色気と,ええと,あと何があったっけ,そう,ハチャメチャな性格で勝ち抜いていく主人公……というお話である。

元はイギリスの人気コミックだそうで,なるほどこりゃマンガだよな,と誰もが納得する世界である。とにかくコミックのコマやアニメパートががんがん登場してキレのよいスピーディーな展開に一段と勢いをつけている。このスピード感がなんとも快感だ。最近では「ラン・ローラ・ラン」のイキのよさを連想させるね。

考えてみると,コミック原作でヒロインが活躍する映画ってけっこう歴史のあるジャンルである。しかも「バーバレラ」とか「唇からナイフ」など印象に残る作品も少なくない。この映画も文句なしにそれら先輩方の仲間入りを果たしたと思う。LDで買っているのでもっと昔の作品だと思い込んでいたのだが,95年作である。

原作は知らないけど,このポップで猥雑でパワフルなヒロインには明らかにマドンナのイメージがかぶってると思う。若い頃の彼女が主演だったらハマりすぎるくらいハマっていたかもしれない。時々ミュージカルになったりするのでよけいにそう感じるのかもしれないが。

「これがアタシのSFよー!」というのは特にどこかのシーンを指してるわけではないが,LDのジャケットに記されたこのキャッチコピーは本作にぴったり。今回,シーンとしてはサイド1チャプター13の42分27秒あたりからの元気なアニメパートを取り上げておこう。

そもそもオープニングのクレジット部分からして単独のビデオクリップとして楽しめる内容なのだが,ここではいっそうスピーディーでカラフルでイキのいいアニメーションが気持ちいい。ブレーキの利かないヒロインの性格がよおーくあらわれていると思うのだ。

LD版は音声DTSのあっぱれな仕様でもある。プレーヤーが動く限り捨てられない1枚だ。

タンク・ガール NJWL-55118
発売元(株)ワーナー・ホーム・ビデオ