地球最後の日のカタパルト式ロケット

■地球最後の日■

映画やSFX関連の書籍などでSF映画の項になるとよく登場するのが「地球最後の日」という作品。それも水平の発射台に鎮座したシンプルなシルエットのロケットである。ああ,あれかと思い出す人も多いだろう。

他の天体が地球に衝突する。それも1年以内に。助かるのは宇宙船で異星へ脱出するわずか40名余りというシチュエーション。製作が51年であるからもう半世紀近く前の作品になる。今ならその40名の選出をめぐっていろいろな陰謀が渦巻くさまが描かれるのだろうけど,この映画はそんなことに時間を費やしたりはしない。シンプルかつストレートである。

科学者とその美しい娘,行動的な主人公とのロマンスや恋敵といったクラシカルな構図を交えながらも宇宙船建造,パニック,脱出と一直線である。そしてクライマックスに登場するこの宇宙船(ロケットといった方がふさわしい)の発進のシーンがこの作品のハイライトである。

長大なカタパルトで推力を稼ぎ,一気に空へと駆け上がるこのタイプの宇宙船はかつてはよく描かれた花形である。サンダーバードでおなじみITCの「宇宙船XL5」や日本のアニメ「宇宙の騎士テッカマン」に登場したブルーアース号などはそのまんまだし,「銀河鉄道999」の列車もその変形と言えるかもしれない。

カウントダウンで垂直に離陸するロケットも豪快だが,長いレールで助走?しながら力をため,最後に空へ向けて飛び立つこの方式は原理うんぬんよりまず絵になるのである。発進シーンをより効果的に演出できるタイプだ。古典的だがカッコいい。

LDではサイド2チャプター37のフレーム25775からである。アングルも映像も秀逸でハイライトにふさわしい。さすがに後代に影響力を及ぼす名シーンだ。ジョージ・パルの名はだてではない。アカデミー特殊効果賞受賞もむべなるかな。

このシーンが印象的なのでその後登場人物たちが異星に着陸して新世界の第一日目を迎えるエピローグ部分のことはすっかり忘れていた。あ,こんなところまで描かれていたんだ!てな感じ。>人類あらかた絶滅の割にはすがすがしい終わり方であった。

ちなみにこのLD,見所の多いサイド2はCAV仕様になっている。気が利いてるではないか〜。発売元にこういうこだわりを見せてもらうとうれしい。

地球最後の日 PILF-1872
発売元(株)パイオニアLDC