ロビー,ザ・ロボット登場の瞬間

■禁断の惑星■

史上もっとも有名なロボットは日本でなら鉄腕アトム,そしてかの聖林の国アメリカにおいてはたぶんロビーである。映画「禁断の惑星」においてもっとも印象的なキャラクターとして登場したこのロボット,クラシックなデザインときまじめな(やはり機械的というべきなのか)応答がシリアスとユーモアの両面で人気を博した。この映画自体は見たことがなくてもオモチャやポスター,雑誌などでご覧になった人は多いだろう。

この映画で人気者になった彼は後に他の作品にもゲスト出演したりしている。トラックもつぶれるような重い荷物を「10トンもありませんよ」と言いながら片手で運ぶパワーと宝石だろうが酒だろうが簡単に合成してしまう高機能を併せ持ったなかなかあなどれんやつなのである。

映画冒頭のクレジットを見るとintroducing ROBBY,THE ROBOTという堂々たる一枚看板での登場だ。鮮烈なるデビューってわけだな。

LD「禁断の惑星」ではサイド1の13分17秒,舞台は惑星アルテア4,ロビーは地平の彼方から主人公たちを謎の博士の元へ案内しようとやって来る。そして同13分40秒,彼の全身が画面に現れ,こちらへ向かって歩いてくる。おおお,以前雑誌で見たとおりの姿だ〜などと思うが,むろんこっちが本家本元だ,当たり前の話である。

映画の方はさすがに古典的名作と言われるだけあって面白い。特に物語の鍵となるイドの怪物というアイデアは魅力的で,のちにあまたのSF作品や日本のアニメなどにも影響を与えている。特撮にディズニーのスタッフが加わったとか,映画音楽として初めて電子音楽を使った作品であるとか(音楽の件は出典が思い出せない,違ってたらごめん)いろいろエピソードもあるが,これがMGM初のSF作品だというのは解説を読んで初めて知った。

子供のころ日曜洋画劇場で見てしびれたが,その数十年後にLDで再見してもやはり面白かった。でもロビー以外の登場人物は全然記憶には残らないんだけどね。ちなみにこの映画が文豪シェークスピアの某作品を原作にしているというのは有名な話だが,まあこれはクイズネタであろう。

今回はワイド版のLDを参考にしているが,それ以前に出ていたバージョンでは光瀬龍氏の解説付きである。この映画が後の光瀬SFにどれだけ大きな影響を与えているかがわかって今となっては貴重な一文である。

禁断の惑星 NJL-52321
発売元 ワーナー・ホーム・ビデオ