Happy Birthday Mr. President

■ALL MY LIFE/MARILYN MONROE■

数々の伝説に彩られているマリリン・モンローの生涯。誰もが知ってる有名なエピソードから年季の入ったファンでなければ知らないような裏話まで,すでに没後37年(今は99年)も経っているので虚実判然としない事柄も少なからずありそうだ。

彼女の出演作自体はビデオで入手できるし,写真集や研究書も数多い。そういった意味でのリソースは豊富だが,インタビューやオフタイム,撮影中のメイキング等のいわばバックステージ的な(動いている)映像はあまり多くない。むろん素材はたくさんあるだろうが,僕たち一般のファンが目にしたりビデオ等で入手できるものは意外と少ないという意味である。

だからテレビで彼女の特集を組んだり,たまにドキュメンタリー的ソフトが出たりするとお宝映像が含まれていないかとても楽しみだったりする。最近はあまりビデオを回さなくなってしまったが,BSなどは要チェックだったなあ。

現在,彼女を扱ったドキュメンタリービデオがいくつ流通しているのか知らないが,よく目にするハネムーンで来日した際の韓国駐留米軍慰問の映像が僕は好きだ。表情もいいし,愛されている大スターと兵士たちという図が,ある意味アメリカという国の晴れやかな時代を感じさせる。その実態や舞台裏はどうあれ,ひとつの時代をよく表している光景だと思うのである。

そして映像としても録音としても,またエピソードとしてもいまだに語り草になっているのがジョン・F・ケネディ大統領の誕生日を祝う会で彼女が歌った「Happy Birthday」だ。テレビなどでご覧になった方も多いだろう。

この文章を書くまで知らなかったのだが,これは彼女が亡くなるわずか数ヶ月前のエピソードだそうだ。ううむ,そうだったのか。それにしてもこのときの彼女,貫禄も存在感も圧倒的である。たいしたアネさんだ,と平伏してしまいそう。

CDではわずか46秒だが,LD「ALL MY LIFE/MARILYN MONROE」ではその後ケネディ大統領のコメントまで聞ける。いわく

心置きなく政界から引退できます これだけの歌を聴けば

だそうだ。モンローとJFKといえば彼女の謀殺説がまことしやかに(今でも)流れるくらい噂のふたりだったらしいが,まあ真相はともかく,この映像は歴史の1ページとしてぜひともとどめておきたいものである。LDではサイド2の45分46秒あたりから。画質はボケボケ,音も彼女のCD買った方がずっとましだが,映像付きだと感慨もひとしおだ。

もうじき21世紀。たぶん20世紀の100人なんて企画がたくさん持ち上がり,そのたびにモンローの名も挙げられるだろう。このシーンもまた伝説のひとコマとしてプレイバックされ続けるのだろうか。

ALL MY LIFE/MARILYN MONROE TSL-0105
発売元(株)東芝EMI/ビームエンタテインメント