おもひでぽろぽろのドン・ガバチョ

■おもひでぽろぽろ■

このコーナーはまがりなりにも「探索隊」などと名乗っているので今回はひとつそれらしい話題で書いてみよう。

高畑勲監督の「おもひでぽろぽろ」はちょうど10年前の作品(今は2001年3月)になるのだが,宮崎アニメとは対照的な地味な作りにもかかわらずけっこうヒットした。緻密で丁寧な仕上げはさすがだが,世評は賛否がまっぷたつという感じだった。面白いのにねえ。

否定派はなぜか親の仇のように激しく罵倒するので不思議だったな。なんでまたそんなに憎しみを込めて(そう見える)否定しなくちゃいけないんだろうと思ったものだ。大人になったタエ子ちゃんのあのラストの選択がそんなに許せないのだろうか。まあよい,今日は別の話だ。

作中の小学生編にはいろいろとレトロな題材が詰まっていて僕などにはこれがまた楽しいところなんだが,その中に「ひょっこりひょうたん島」のワンシーンが登場する。もちろんアニメとして描き起こされたものだが,短いシーンながらあの人形の動きの感じがとてもよく出ていた。

音声は当時のものがそのまま使われている。したがってドン・ガバチョはお懐かしや藤村有弘大人である。やはりガバチョといったらこの人だよね。

で,このシーンなんだけど,以前メールでおたずねを受けたことがある。あれはひょうたん島のどのエピソードのものなのだ?というご質問だ。ええー!そんなのわかんないよーというのが正直な感想だった。これが即答できるとすれば日本一のひょうたん島ファンの伊藤悟氏くらいのものだろう……とは思ったのだが,せっかくだからダメ元でとにかく問題のシーンをよおく見てみることにした。するとガバチョ氏はこう言っている。

なにしろ私の目の前でいきなりダイナマイトが数十個ドカーンチョと爆発したのですぞ!

私とキッド大統領とド根性おばあさんの3人でおイモを掘っておりましたら何とそのおイモがダイナマイト!

キーワードはたったこれだけである。うーむ。やっぱ無理だよと思いつつ前記伊藤氏の著書「ひょうたん島熱中ノート」巻末のひょうたん島年表を眺めているとエピソードの中におや?と思う記述があった。第824話(1967年7月24日)から始まる「ウクレレマン・ダン」のシリーズであるが,いくつか挙げてみると

おお,これはかなりいけてるんじゃなかろうか?問題のシーンがこのシリーズのものである可能性は高そうだぞ。確証とまではいかないが,状況証拠としては相当に確度が高いといってよいのではなかろうか。次のシリーズは第933話(1968年1月4日)からということなので67年の後半頃のワンシーンということになる。ちなみにひょうたん島は全1224話だそうだ。

LDではサイド2チャプター18の25分40秒くらい。子役としてスカウトされることを夢想するタエ子ちゃんがテレビでひょうたん島を見ているシーンである。ここでかぶさるドン・ガバチョ氏の脳天気な歌声が実にいいのう,と思うのは僕がちょうど彼女と同世代だからかもしれない。

おもひでぽろぽろ TKLO-50058
発売元(株)徳間書店/徳間ジャパンコミュニケーションズ