テレビから飛び出す怨念の手

■ポルターガイスト■

ハリウッド製ホラーとしてあまりにも有名な「ポルターガイスト」はテレビでもたびたびオンエアされていたからたいていの方はご存じだろう。いかにもアメリカン・エンタテインメントらしいノリとハッタリが効いたスピルバーグ印の快作である。

後に出演者が奇禍に遭ったりしてホラーらしいいわく付きの作品になってしまったが,娯楽作品演出の教科書みたいにテンポのいいストーリーで観客をぐいぐいと引き込んでいく。ぐちょぐちょぎとぎと部分もほどほどに作り物っぽくてクライマックスの大騒動などはド派手な割には怖くない。スペクタクルに近いからだ。

やはり序盤から中盤の,徐々に奇現象がエスカレートしていく過程の方が怖いと思う。

さて「ポルターガイスト」といえば何といっても幼女キャロル・アンである。映画序盤,ノイズ画面になったテレビを彼女が見つめていると,ブラウン管から不気味な手がにゅっと出てくるシーンは相当なインパクトがある。忘れられないこの映画の象徴的な場面であり,見ていて思わずうっと腰が引けてしまう。

LDではサイド1チャプター5の24分02秒。この瞬間のショックは(映像的にも)かなりのもので,これで観客は一気にこの映画の世界に引きずり込まれてしまう。つかみはバッチリというわけだ。監督はトビー・フーパーだが,実際はスピルバーグ自身がほとんど演出したらしい。スピルバーグ印としては限りなく純血に近い作品といえるかもしれない。

いきなりアメリカ国歌で始まるのも上手いし,夢のように優しく美しいメインテーマ曲も皮肉が効いている。でかい家がまるごと異界へ吸い込まれていく力づくのSFXも派手でよいね〜。

こわいぞこわいぞこわいぞどっかーーーんうぎゃーばりばりひいーーおあああという正にジェットコースタームービーなのであった。まずは定番の1枚としてそろえておくべきだろう。ふう〜。

ポルターガイスト PILF-2287
発売元(株)パイオニアLDC