オリビアのフィジカルをふりかえる

■虹色の扉■

DVDに押されて今やたそがれを迎えつつあるLDだが,2万タイトルの歴史は伊達ではなく,オーディオビジュアル史上に残る名盤,話題作は数多い。まあ栄枯盛衰は世の常であるからDVDに取って代わられるのは仕方ないのだが,どんなにフォーマットが変わってもリリースを続けてほしいタイトルはある。

それは人気の映画だけでなく,音楽ソフトにおいても同様だ。

LDの黎明期に「絵の出るレコード/レーザーディスク」の代表的なソフトとして売れていたのがオリビア・ニュートンジョンのビデオクリップ集「虹色の扉」である。テレビ放送とは一線を画したCAV仕様の高画質・高音質,しかも日本でも大変人気のあった彼女のヒット曲の数々が収められているというまことに購入価値の高い1枚。LDのデモには最適であった。

これは今見ても非常に所有欲を刺激する内容充実の名盤で,今更ながら「あのとき買っといてよかった〜」と思う。セクシーな姿態も自信にあふれ,歌手といえどもルックスを売り物にできるってのはいいもんだな〜と恐れ入ってしまうくらいだ。むろん彼女のボーカルに魅力があってこその話だが。

さて,このLDの中でもひときわ注目なのが「フィジカル」である。たいへんヒットした曲なのでよくご存じのことと思うが,本国では放送禁止になった州もあるくらい過激な詞で有名だ。もっとも,ネイティブでない我々日本人にはその内容がどのくらいアブナイ代物であるか,そのニュアンスは正直言ってよくわからないのだが。

過激だ過激だという話題ばかり先行していたが,ここでの映像は今でいうエアロビクスとマッチョの組み合わせみたいな感じで,詞の内容とはだいぶ世界が違う。ま,これはこれで別の危なさが漂っていてなかなかよいけど。彼女もレオタードでくねくねだ。LDではサイド1のチャプター4。こういうカッコで男たちと絡めるというのは自分の姿に自信ある女の強み……ってもんだろうか。

当時はこのようなプログラムはテレビでも少なく,たまにNHKで流してくれたのが非常にありがたかったことを覚えている。ヤング・ミュージック・ショーなどという(今となっては)とっても照れくさいタイトルの番組だったけど,なんせ今のようなプロモーションビデオ時代ではないのでなかなかお目にかかれなかったのだ。

これはLD史上に残る名盤のひとつなので,中古セールで見かけたらぜひとも手に入れておこう。後に再リリースされたときにはCLVになっていたと記憶しているので(思い違いだったらゴメン)できればCAV版を探そう。

湯川れい子女史のライナーは82年1月の日付だ。歴史を感じちゃうね。

オリビア・ニュートンジョン/虹色の扉 MP057-22EM
発売元(株)パイオニア/レーザーディスク