折り紙の魅力を見よ

■ピーターと狼/動物の謝肉祭■

粘土,ガラス,砂粒,ハンカチ,人形,墨絵,ピンホール,その他いろいろ。これすべてアニメーションの素材である。実に多種多様だ。実際さまざまな手法とアイデアを活かした独特の作品が生み出されている。セルとCGばかりがアニメではない。

折り紙もまたそのひとつである。

折り紙……子供の頃は誰でもひとつやふたつは折れたものだ。かつての僕にはギャオスの頭という変なレパートリーがあったのだが,今では定番の折り鶴さえ作れるかどうかあやしい。

ま,それはともかく,今ではOrigamiという英単語がちゃんと辞書にも載っている。趣味として,また文化として相当に奥が深い世界であることは間違いない。専門のホームページだってあるしね。

かつて手塚治虫氏はアニメーションの魅力がメタモルフォーゼにあると言ったが,この言葉はそのまま折り紙にも当てはまるのではないかと思う。ただの四角い紙切れがさまざまな形,それも立体,に変化するさまには確かに惹きつけられるものがある。その折り紙を使ったアニメーションを見ればなおさらだ。

「折り紙アニメーション ピーターと狼/動物の謝肉祭」は子供向けのポピュラーなクラシック曲を折り紙アニメーションと共に収録した珍しい作品である。曲の方もたいへんなじみのあるものだが,ここではなんといっても折り紙の変化する姿が見ものだ。

むろん,折りあがった動物たちが動く姿もいいのだが,それ以上に素敵なのはただの四角い紙がぱたぱたと折り込まれて変身していく部分である。まさにメタモルフォーゼの魅力だ。

LDではサイド1チャプター10の25分12秒あたり,ただの色紙が立て続けにフラミンゴや山羊,鹿,カメといった動物たちに変わっていくさまには思わず「ほほー」と感心してしまう。また同じくチャプター17でカンガルーのおなかのポケットから飛びだした紙が空中で折りたたまれて変形してゆく部分などはカメラも立体的で実に見事。一見以上の価値がある。

海外作品なので折り紙をやっているのも日本人ではなくズーラル・アイチューレ=シェーレという御仁である。なるほどそういえば登場する折り紙キャラクターの造形は何となく和風ではない。いったいどこの人だろうね?

登場した数々の折り紙のうち,自分で作った覚えのあるものはほとんどなかったけど,その豊かな表現力はたいそう魅力的だ。お店ではアニメーションの棚よりクラシックLDの棚に置いてある可能性大だが探してみる価値は十分にあると思う。

折り紙アニメーション ピーターと狼/動物の謝肉祭 POLL-1112
発売元(株)ポリグラム