スペースオペラのドナルド・ダック

■ディズニーランド傑作選■

テレビ版「ディズニーランド」は僕がまだ子供の頃にオンエアされていた番組である。バラエティでもなく,ドキュメンタリーでもなく,といってドラマだけでもない,うまく表現できるカテゴリーが思いつかないのだが,強いて言えばディズニー提供ディズニースペシャルとでも言おうか。

今思うとすさまじく豪華な番組だったのだが,その値打ちがわかるのはずっと後になってからだ。

映像コレクターの端くれとしてはぜひとも手に入れたいシリーズだったが,その貴重なコレクションの中から数本のエピソードが選ばれて3枚組のLDボックスでリリースされている。感涙ものである。

そのサイド6に「火星とその彼方 -Mars And Beyond-」というプログラムが収められているのだが,これがちょっとした小物アニメーションの宝庫なのだ。誰もが知ってるディズニーアニメとは全く違う。むろんノルシュテインのような芸術的なアニメでもない。いかにもアメリカン・カートゥーンという感じ,と言えばわかっていただけるだろうか?

その中に安手のスペースオペラ時代のSF小説をおちょくったような作品があってもう大笑い。ご都合主義とエロで売ってた(美女はなぜか異星人や怪物に襲われて○○なことされたり△×な目に遭うのだ)チープな世界を皮肉っているわけだ。

ここで火星人にさらわれる美人秘書のくだりがあるのだが,これが実におかしい。怪物から逃げ回る美人秘書のドタバタなんだけど,その彼女を追いかけるいろんなベム(怪物)たちの中になぜかドナルドダックがいるのである。こんなところにまでゲスト出演しているとは。

LDではサイド6チャプター4の15分27秒。あの独特のわめき声?付きである。ついでにこのシークエンス自体は同じくチャプター4の12分50秒あたりから3分半ほど続く。古手のSFファンならにやにや笑いが止まらんだろうなあ。

まあ,ドナルドの登場はちょっとしたお遊びに過ぎないのだが,このテレビ版ディズニーランド集は必携,必見の逸品。全話リリースしてほしいくらいである。コレクターなら即入手だ。

ディズニーランド傑作集 PILF-2528
発売元(株)パイオニアLDC