砂の巨顔

■ハムナプトラ/失われた砂漠の都■

「ガメラ3」に入れ込んで劇場に日参していたころ,ちょうど「スターウォーズ/エピソード1」の予告編がかかっていた。それを見るたびに「いよいよスターウォーズの新作かあ」と感慨にふけっていたのだが,同じように毎回お目にかかっていた予告編が「ハムナプトラ」である。

これが何やら派手な特撮アドベンチャーらしくてけっこう印象的だった。何度も見たせいか,正直に言うと印象度では「エピソード1」とタメをはっていた。興行的にも健闘して話題になったが,DVDも価格はお手ごろ特典どっさりでけっこう売れたのではないかな。僕も買ったけどなかなかお買い得な1枚である。

砂漠のミイラ怪人のお話と言っては身も蓋もないし深みや風格なんか薬にしたくてもないんだけど,サービス精神とケレン味たっぷりの派手な展開で楽しませてくれる娯楽作だ。商売としての映画ならまさに優等生ではなかろうか。ホームシアターで楽しむにもうってつけで,友人たちを招いてわいわいやりながら見るならこういう作品は最適である。

で,ご存じのとおりこの映画のウリはなんといっても派手なSFXだ。

古〜〜〜いお話を最新の映像でリメイクしてるわけだが,メイキングなど見ているとそのSFXチームの連中が自慢げに語っているだけあって確かによくできている。こうするとミイラの筋肉がリアルで本物らしいとかやけにうれしそうに言われても「ははあ,そうですか」としかコメントしようがないんだけどね。

それはともかく,数々の派手な映像の中でいちばんこの映画らしくて予告編などでも印象に残っているのが例の砂嵐が巨大な人の顔になるシーンだ。ヒーロー,ヒロインともにいまいち影が薄いけどそんなこたぁどーでもいいわい,という気にさせてくれる派手さである。

だいたいが砂漠での冒険譚だから砂にまつわるSFXがいろいろ出てくるんだけど,ワイドスクリーンに映える大見せ物としてこのシーンは絶対に外せない。

DVDではチャプター14の93分3秒あたりか。こういうのは小さなテレビで見てもつまんないのだ。事情が許す限りの大きな画面と音響で遊園地の絶叫マシンを楽しむがごとく体験したいものである。実のところストーリーの細部は早くも忘れかけているのだが,ひととき遊ばせてくれる娯楽映画というのはそれでいいのかもしれない。

そういえば「ハムナプトラ」というタイトル,どうも語呂が悪いんじゃないかという気がするんだがこの作品に限っては原題(THE MUMMY)をカタカナにするわけにはいかなかったんだろうなあ。さすがに「マミー」では可愛らしすぎるということか。

ハムナプトラ/失われた砂漠の都 SUD-30630
発売元(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント