ミンメイ最大戦速

■超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか■

最近は一部の劇場用作品を除いてろくにアニメを見ていない。特にテレビアニメとはほとんど縁が切れてしまった。キライじゃないんだけどね。まあこれも歳とって老けた証拠だろうか。すべての作品のテーマソングが歌える,などと豪語していたのも遠い昔の話になってしまった。

「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」はテレビシリーズの人気に支えられて登場した劇場版だ。毎週綱渡りのテレビ版の作画とは違ってさすがに美しい画面が心地よかった。いかに細かい描き込みをするかというのが一種のステータスになっていたころの作品だけに,メカアクションは一時代を画する緻密さだった。

しかしマクロスといえばなんといってもリン・ミンメイだ。

今でいうバーチャル・アイドルのはしりであるこのヒロイン,性格的にはいささか問題ありだったが人気は文句なしで,なかなか画期的なキャラクターであったと思う。なにしろビームやミサイルが乱れ飛ぶ戦場のど真ん中で歌ってるアイドルだもんな。

しかし彼女の曲には意外なほど名曲というか耳になじむ曲がそろっており,実在の歌手ではないにもかかわらず,そのへんの歌手よりよほど持ち歌は充実している。むろん,演じた飯島真理の力があればこそだが,リン・ミンメイというのはベストアルバムを1枚持っておくだけの値打ちのある歌手なのだ。

でもって「愛・おぼえていますか」である。劇場版で彼女が歌うこの曲,クライマックスにふさわしいパワー全開の画面ともシンクロしてアニメファンには忘れがたいものになっている。割とオールドファッションな曲という感じがかえってよいのだ。

DVD版ではちょうどチャプター30。いったい画面のどこにどう戦闘機やミサイルやビームやらが飛んでいるのか判別しがたいほどむちゃくちゃに描き込まれた戦闘シーンのバックに流れるアイドル歌手の歌。どう見ても正統派の演出ではない(といってミスマッチというのでもないようだ)が,インパクトは相当なものだ。

なお,このDVDにはおまけとして劇場用特報や予告編が収録されているが,特報1というのが面白い。劇中劇というか映画内映画のスタイルで,そういえばテレビシリーズが人気を博していたころ,このスタイルのアルバムも出たなあなどと感慨にふけってしまうのであった。いやあ。

ちなみにこれは84年の映画。同年には「風の谷のナウシカ」と「ビューティフルドリーマー」という2大傑作も出ている。アニメの当たり年だったのだろう。

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか BCBA-0010
発売元(株)バンダイビジュアル