美女と野獣のシャンデリア回り込み

■美女と野獣■

「美女と野獣」はディズニーアニメが長い低迷から華々しく復活した記念すべき作品だ。そのスタイルがあまりにも好評だったため,明らかに「美女と野獣」以前と以後というようにアメリカの長編アニメーションにおいて時代を画する作品となっている。

現在のディズニーは逆にそのスタイルを脱することに苦労しているようでもあるが,それはまあ別の話,この映画は確かにエポック・メイキングな傑作だったと思う。

第一面白かった。

刺激に満ちた日本のアニメに慣れた目には海外作品の大半はたいくつでしかない……そんな時期が続いていたので,大作映画の風格と豪華な美術や音楽,そしてまともなストーリー(これは大切だよ)を備えた「美女と野獣」の登場はちょっとした感動だった。

クラシックなディズニーアニメを体験していようがいまいが関係ない,新たなスタンダードの誕生である。。

そして表現手段としてもCGを本格的に導入して話題になっていたのがこの作品だ。中でも特に有名なのが,ヒロインのベルと野獣がダンスをする場面でのシャンデリアの横をカメラがぐーっと回り込みながら降りてゆくカットである。もう「美女と野獣」といったら必ず紹介されるのがこのシーンだ。

手書きじゃ絶対不可能な映像である。動きだけならロトスコープという手もあるが,描き込みの複雑さを考えれば人力ではやはり無理だろう。人物や背景とどうタッチを調整するかとなるとこれは演出家次第だが,とにかくほおーっと感心する美しさであった。

スペシャル・コレクション版LDではサイド2チャプター18の1分29秒あたりなんだけど,ここはメインテーマが美しいロマンチックなシーンであるから曲の途中から見るような無粋なマネはしないように。せめてチャプター18の頭から見よう。

でも呪いが解けて野獣から人間の姿に戻った王子さま,もうちょっと凛々しく描いてもよかったと思うなあ。

スペシャル・コレクション 美女と野獣 PILA-1232
発売元(株)パイオニアLDC