薬師丸ひろ子のカ・イ・カ・ン

■セーラー服と機関銃■

最近の電動自転車のCMなどを見るといささか悲しいものがあるが,薬師丸ひろ子という人は実に希有なキャラクターである。並の女優で埋もれてほしくないのだが,こればっかりはただの一ファンにはどうしようもない。祈るばかりである。

ゴクミ以前の国民的美少女は角川映画の秘蔵っ子だったわけだが,中でも「セーラー服と機関銃」は映画も主題歌も大ヒットし,角川映画の華々しさのシンボル的作品だった。いやあ良い時代だった〜なんてこたあ言わないが,当時の彼女には格別な華と夢があった。それは角川書店あげてのメディアミックス戦略の成果だったのかもしれないが,今はなき某バラエティ誌,別名薬師丸ひろ子ファンクラブ会報を毎月買う喜びはウソではなかったぞ。

さて「セーラー服と機関銃」である。僕にはランニングタイムがちょっと長すぎる気もするのだが,当時は相米監督の長回しがいやに有名でそういうもんだと思って見ていた。実のところこの映画の華はすべて予告編に凝縮されており,今見ても実に快感な予告編である。薬師丸ひろ子の最大の特徴である目の美しさがすばらしい。

そして「セーラー服と機関銃」(今となってはずいぶんストレートなタイトルである)とくれば何といってもクライマックスでひろ子がマシンガンを乱射するあのシーンである。完璧版としてリリースされているLDではサイド3の20分10秒あたりだ。一世を風靡した彼女のあのセリフ「快…感…」をもう一度聞いてみよう。

よく見るとこの瞬間,彼女の左頬から血が流れているのがわかる。当時も話題になっていたが,弾着のシーンで予想以上に破片が飛び散って顔を傷つけてしまったという話だった。ひるまずに演技を続けた彼女はあっぱれであった,と言っておこうか。

それにしても,今見ると女子高生というのはもはや完全に当時とは別種の生き物になっているのがわかる。おじさんは悲しいよ。ううっ。

セーラー服と機関銃 完璧版 PILD-1117
発売元(株)パイオニアLDC