30年目のジュピター2号

■ロスト・イン・スペース■

98年作の「ロスト・イン・スペース」はご存じ(というには古いかもしれないが)人気テレビシリーズ「宇宙家族ロビンソン」のリメイクだが,最近ビデオ/LDもリリースされたので,ご覧になった方も多いだろう。けっこう酷評されてる向きも少なくないようだが僕には豪勢なファミリーピクチャーとして楽しめた。テレビ的な展開を映画ならではのデラックスな映像で楽しむという見方が正解だと思うんだけどな。

この映画,もちろん旧作を知らなくても楽しめるが,僕のようなロートルには作中のあちこちにちりばめられたテレビシリーズ版へのオマージュもまたうれしい。かつての出演者たちがちらっと顔を出しているのも楽しいし,ロボット・フレンディのデザインが物語後半でぐっとテレビ版のフライデーに近づくのも内心「よっしゃ!」なのである。

かつてのペニー役アンジェラ・カートライトが恐れていたほど老け込んでいなかったのでほっとしたりしてね。そういえば彼女,テレビシリーズの第1話を見直していて気がついたんだけど,番組冒頭のクレジットでは他のクルーをさしおいて彼女のみAS PENNYと役名がふってあった。サウンド・オブ・ミュージックの子役ということで扱いがワンランク上だったのかな?

さて僕にとっては「宇宙家族ロビンソン」といえばなんといってもジュピター2号である。この円盤形宇宙船のスマートさが当時の僕には凄くカッコよく見えた。どっかの星に難破している状況が多かったので宇宙空間を飛んでいるシーンは少なかったんだけど,宇宙船でありながらアットホームな"家"のイメージがあってとても好きだった。新作のダークなハードウェアの肌触りも捨てがたいが,旧作の明るい船内,特に上層と下層を行き来する丸いエレベータが僕のお気に入りだったのである。

そのジュピター2号,映画版の予告編ではミレニアム・ファルコンのラインを継いだ今風のデザインになっていて「まー番組が終わって30年も経っているんじゃしかたないか」と思ったものだ。

と・こ・ろ・が・!いやー映画本編を見ていてうれしかったねえ。何がって地球からの発射のシーンである。ジュピター2号の外側を包む発射用ブースター(ジュピター1号)がなんと旧ジュピター2号そっくりなのである。かつてのテレビシリーズ大好きだった連中が作ったってことが伝わってくるシーンだ。発射ドームのスケール感も見事。天晴れ天晴れ,褒めてつかわすぞ〜。

LDではサイド1のチャプター8くらいかな。轟々と噴射炎を吹き出して上昇するビジュアルはちょっと古典的な味わいだが,飛び立つガメラみたいでよいね。回転する下部構造もかつてのジュピター2号そのままだ。多くの旧作ファンも本望だろう。

テレビスポット22本プラスαというやけくそみたいなオマケも太っ腹。

ロスト・イン・スペース JVLF-67005/6
発売元(株)日本ビクター