猿人の投げ上げた骨が宇宙船に

■2001年宇宙の旅■

見る度に新しい発見がある「2001年宇宙の旅」だが,その魅力は今さらくだくだ述べるまでもない。どんな新作映画の企画も,最初から対抗することをあきらめて別の道を探してしまうので,永遠に追随者が現れない。この映画そのものがモノリスのようだ。

なんといってもすばらしいのは一切妥協しないハードな絵作りだ。故に名場面の宝庫なのだが,物語自体が相当に思弁的なのでなにやら暗示的なシーンが多い。

第1部,モノリスに触れ新たな知恵を身につけた猿人が,空に向かって骨を投げ上げる。するとその骨のシルエットはそのまま無音の宇宙をすべっていく宇宙船の映像へと切り替わる。間を隔てる数百万年の時間を一瞬に跳躍して物語は近未来の太陽系へと移るわけだが,この切り替えがぞくっとするほどインパクトがある。

最近リリースされたドルビーデジタル版ではサイド1の20分48秒あたり,ちょうどチャプター10から11へかわるところだ。

今ならさぞや劇的な効果音とともに描かれるであろうシーンの数々もこの映画では沈黙のうちに展開する。この徹底したストイックな作りが「2001年」を古びさせずにいるのだと思う。

ちなみに第1部の主演?の猿人には名前があったような気がするのだが,ジャケットや劇場パンフには見あたらない。この映画に関する何かの記事で読んだような気がするのだが,思い出せない。思い違いか?

ボーマン船長役のケア・デュリアは「宇宙船アーク」という世代型スターシップを舞台にしたテレビシリーズに出ていたと思うがこれも自信なし。NHK放映で結構気に入っていたのだが。その作品ではケア・ダレーとテロップされていたのだけは記憶にある。

2001年宇宙の旅 PILF-2510
発売元(株)パイオニアLDC