裸の美女には勝てませぬ

■スペースバンパイア■

とかくハリウッドの娯楽作品は騒々しい。うおおおドカーンバリバリぎゃあああの連続である。僕の場合そういったにぎやかな?映画としてなぜか浮かんでくるのが「スペースバンパイア」である。B級SFの見本みたいな派手でチープでエロで騒々しい映画だ。でも実はけっこう気に入っていたりする。

宇宙で発見されたオールヌードの美女が実は吸血鬼で巷には彼女の犠牲者が次々と増えていくというとんでないお話。この女吸血鬼を意味もなく裸に設定する制作者のミエミエの下心といい,グロテスクを通り越して大笑いの吸血(正確には吸精というべきだ)シーンといい,B級映画かくあるべしというあっぱれな作品である。

監督がトビー・フーパーとくればさもありなんという映画だが,これがなぜか忘れがたい。僕はスケベな中年だから裸の美女が暴れる話なんてうれしいのだが,徹底した見せ物小屋的展開がいいのである。スタッフはそうそうたる豪華な顔ぶれ。それでいてこんなしょーもない(でも痛快な)映画を作ってしまうところがおかしい。

たいそうな意気込みで準備していろいろやっているうちにどこをどう間違ったか,いつの間にかこんなものができちゃいました,という感じだ。

原題はLIFE FORCEでこれは説明の要もないね。全編をほとんど裸のままがんばってくれた女吸血鬼役のマチルダ・メイに敢闘賞をあげたい。彼女が哀れな犠牲者からそのLIFE FORCEを吸い取るシーンは僕の初期版LDではサイド1の18分51秒というところ。しかし派手さでは同29分53秒のシーンだろうか。公開時のテレビスポットで流れていたと思う。でもこちらは男同士なのでちょっとイヤ。

CG時代直前の作品なのでSFXは今のものとは肌触りが違う。CGは何でもできるがファンタスティックな驚きとなるとスタッフのセンス次第。なつかしのダイクストラSFXはなかなかいけてる。

音楽はこれも大物ヘンリー・マンシーニでメインテーマは今でもよくいろんな番組で流用されている。なかなか明快で耳につくメロディーは1度聞いたら忘れられない。あ,この曲かあと思い当たる人も多いはずだ。友達とわあわあ言いながら見ると楽しい1本。中古で見つけたら買っておこう。

スペースバンパイア SF078-5063
発売元(株)ヘラルド・エンタープライズ