まだLDが懸命にフォーマット定着を目指していた頃,孤軍奮闘していたのが盟主であるパイオニア社。同社提供の番組ではLDプレーヤーやソフトのCMが毎週流れていた。リリース予定のビッグタイトルは必ずでかでかと紹介されていたが,中でも印象に残っているのが「ストリート・オブ・ファイヤー」である。そして「ストリート・オブ・ファイヤー」とくればあの曲だ。
TONIGHT IS WHAT IT MEANS TO BE YOUNG(by Fire Inc.)
あまりにも有名なこの曲のシーン,ダイアン・レインは確かに(ひいき目に見ても)ロックの女王にしてはノリがいまいちという印象は拭えないが,これ,彼女がホントに歌っていると思った人はけっこう多かったようで「吹き替えですよ」と言うとかなりの確率で驚かれたものである。
でもそんなこたぁ些事に過ぎない。この映画の面白さはそんなことで揺らぐものではないのだ。今思うと,ロックなんぞに縁遠いおっさん(僕のことね)がなんでまたこんな映画を気に入ってしまったのかよくわからないのだが,実はなぜこのLDを買うことになったのかもよくおぼえていないのだ。
劇場では未見,つまりLDが初見だった。"ロックンロールの寓話"なんて作品を手に取る自分ではなかったはずなのだが,なぜかリリースと同時に入手し,なぜか大のお気に入りになってしまっている。あのころの自分が何を思ってこのLDを入手したのか今となっては謎だ。
それはともかくこの映画,主演のマイケル・パレがむちゃくちゃカッコよいのが何といっても快感で,ヒーローかくあるべしという僕の基準を最高レベルで満足させてくれた。こいつ何でこんなにカッコいいんだ〜〜〜てなもんである。
そのヒーローに見守られながら,かつての恋人が熱唱するこの曲,最近ワイド版で再リリースされたLDではサイド2のチャプター11である。ちなみにパイオニアのCMに使われていたのは同チャプターの36分11秒〜12秒あたりのカットだ。ふりあおぐダイアン・レインの顔がライトでパッと明るくなる部分である。
大作ではないが,LDの歴史に刻まれた1作。今ならDVDもある。ぜひともそろえておこう。
ストリート・オブ・ファイヤー PILF-2490
発売元(株)パイオニアLDC