異星人の格闘技学習法

■フィフス・エレメント■

リュック・ベッソン監督の「フィフス・エレメント」はおもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかな作品で,批評家にはいまいち受けがよくなかったようだが観客にとっては楽しい2時間だった。「レオン」の繊細さはどこへ行ったのだ〜という声も聞こえてきそうだが,1監督1パターンと決まっているわけでもなし,いろんなタイプの作品を見せてくれるというのもプロの仕事だろう。

確かにお金かかってるなーと羨ましくなる作品だが,最近のようにたいていのビジュアルは実現できてしまうこの業界ではセンスや個性の方が問題だ。お話そのものは寺沢武一のコミックそのものって感じだが,全編のデザインセンスには独特のケレン味があって僕は気に入っている。こういう作品に100億もかけるか?という疑問はまた別の話ね。

で,ブルース・ウィリスはほっといてミラ・ジョヴォヴィッチである。

異星人の細胞から復元された"至高の存在"。クラシックな美女とは全く違う未来型ヒロインだが,確かにブルース・ウィリスならずともお近づきになりたいと思わせるキャラクターである。来日時のインタビューがやたら可愛かった。彼女あってのこの作品であろうことは間違いない。

劇中,彼女がコンピュータの端末から猛烈な速度で地球人とその文化について学んでいくシーンがある。ここでライブラリの中からブルース・リーの映像が出てくる。このくだりでにやりとした方も多いだろう。彼女はそれを見て地球人型の肉体を使った格闘技を習得するわけである。偉大なりブルース・リー……って笑っちゃいかんよなあ。

LDではサイド1チャプター23の45分57〜58秒あたり。ヌンチャクを構えたおなじみの姿からしてどうやら「燃えよドラゴン」らしい。ちなみに彼女はmartial art(格闘技)の項を見ているのだが,このライブラリには日本の武士のデータも入っているようである。上記の1秒前のカットで確認できる。

まあ,それにしてもたった数秒で数千年の格闘技のエッセンスを習得してしまうとはさすがに"至高の存在"である。サイド2のチャプター44では学習の成果を存分に披露してくれるぞ。

「フィフス・エレメント」の名場面といえば,誰もが異星人オペラ歌手のステージのシーンを挙げるかもしれないが,今回はへそ曲がりでこちらを選んでみた次第。

フィフス・エレメント JVLF 77011-2
発売元(株)日本ビクター