「スターウォーズ」の旧3部作というのは考えてみると名場面の宝庫である。ここから幾多のパロディやパクリが誕生していることは誰もがよくご存知のとおりだ。技術的にも,あるいは興行的!にもその後の映画界に多大な影響を与えていることは間違いない。
もっとも,第1作からすでに四半世紀(今は2002年)もたつので,若い世代にとっては僕たちの思い入れはピンとこないかもしれない。「スターウォーズ」で話が通じないというのはちょっとショックだけどなあ。
その旧3部作のパート2「帝国の逆襲」だが,公開時にはいろいろ言われたものの今ではこれが一番好きという人は少なくない。
展開は波瀾万丈だがヒーロー側はさんざんの負け戦,敵方は余裕の追撃戦という感じでラストにどーんとカタルシスがあるわけではない。そこが当時はちょっと欲求不満だったのだが,大河ドラマの中間部というのはまあそんなものだ。そう思えば多彩なシーンの数々も楽しいではないか。
ストーリーも舞台もぐっと拡大してドラマチックになったし,キャラクターも出そろった。特に後半は美術もたいへん美しくて絵としてのSFを満喫できる。スペオペをデラックスな画面で楽しめるというのはぜいたくな快感だ。
さて「帝国の逆襲」というと雪原での戦闘や小惑星帯のチェイス,ヨーダの登場やハン・ソロとレイアの仲がどうのこうのといったいろんな話題が詰まっているのだが,物語の核となる大ネタはやはりここだろう。宿敵ダース・ベイダーがルークに向かって「私がお前の父だ」と告げるくだりである。
ルークを追いつめたベイダーがこの衝撃の告白?をするのだが,この展開はさすがに話題になった。いまだにパロディになるくらいだからインパクトは十分,おおーそうくるか!という感じだ。
特別篇LDではサイド3チャプター11の25分49秒あたり。クローズドキャプションの英語字幕を引っぱり出しても「I am your father」になっているから間違いないけど「あーい,ぁむよっふぁーざ」って意外と聞き取りにくい。こんな短いセリフひとつでも昔習った学校英語のヒアリングの非力さがわかってちょっと悲しい。
ともあれ血縁=ドラマというのは古今東西共通しているようで,このシリーズもここから血縁の物語になっていく。現在進行中の新3部作は結局そこを埋め尽くしたいというお話になるのかもしれない。
父だと名乗られたくらいで動揺してどうする,とルークをどつきたい気もするが,若きヒーローがくたびれた中年(僕)と同じメンタリティでは物語が始まらない。感情に足を取られてこそ主人公なのである。
スターウォーズ/帝国の逆襲 特別篇 PILF-2434(PILF-243402)
発売元(株)パイオニアLDC