巨大隕石落下

■ダイナソー■

古今東西,地球への天体衝突,あるいは大隕石落下というシチュエーションのSF映画はたくさん作られている。それこそちゃっちい特撮からスーパーなCGによる迫力のリアル映像まで,技術や学説の進歩に伴って作られる作品も様々な見どころを提供してきた。

特にCGの時代になってからは実に美麗?な大災害が描かれるようになり,ハリウッドの物量はこの分野でも大活躍している。

中でもモチーフとしておなじみなのが,6500万年前にユカタン半島付近に落下して恐竜絶滅の原因となった(とされている)巨大隕石の衝突だ。大気圏外まで吹き上がる爆風や衝撃波のリアルな映像に覚えのある方も多いだろう。

ディズニーのCG恐竜映画「ダイナソー」はこの巨大隕石落下が序盤のすばらしい見どころになっている。

他の映画のように地球外の視点からの映像ではなく,前触れの流星群に続いて禍々しく空から落ちてくる巨大な隕石を恐竜たちが海辺で呆然と眺めている……という構図になっている。それがまた非常に美しいのだが,次の瞬間すさまじいデザスターに一転する一連のシーンの映像が本当にすばらしい。

お話の方は,運命の気まぐれによりひとり異種族の中で育った若者が大災害や幾多の試練を経て成長し,ついには勇者として皆のリーダーになるというとてもシンプルかつステロタイプなものだ。実際のところキャラクターが恐竜である必然性があるのかどうかは怪しいなあと思うが,とにかくこのド迫力の前には潔く敬意を表することにしよう。そのくらい見事な映像である。

DVDではちょうどチャプター6の部分。んま〜〜さすがに大予算のフルCGってすごいな〜と感服するのみである。昔LDでコレクションしてた当時最先端のCG作品集の画がまことにのどかで幼いものに感じてしまうくらいだ。

このシーンのみならず全編「たいしたもんだわ」と感嘆するくらいCGの,特に質感の表現は見事なもので,恐竜たちのお肌のリアルさといったらそれはもう……。しかし日進月歩という言葉でも遅すぎるくらいこの分野の進化は激しい。この映像が最先端でいられる期間もそう長くはないのだろうなと思うと空恐ろしい。

ところで,この映画の製作費には諸説あって1億3000万ドルとも3億ドルとも言われている。最近のハリウッド映画のインフレぶりはちと異常ではないかという気がするのだが,それにしても3億ドルとはねえ。たとえペイしても300億円かけて映画1本作ることに意義があるのか僕には疑問だ。

でも作っちゃったものは仕方がない,ありがたく拝見させてもらおう。この映像には確かに一見の価値がある。

ダイナソー VWDS4460
発売元(株)ブエナ ビスタ ホーム エンタテインメント