フラッシュダンス風原田知世を見る

■愛情物語■

かつて邦画界を席巻した角川映画,いろいろ言われたものだが名作として後世に残るのは大林宣彦+原田知世の「時をかける少女」だけではないかと思う。その他の作品のファンの方ごめんね。

で,デビュー当時の知世ちゃんは業界人からは「あれをやらせたい」と思わせるキャラクターであった。そこでいろんな企画が浮かんでは消えていったと思うのだが,結果として残っているものには!もあれば?もある。映画「愛情物語」もどちらかといえば?の部類だろうか。

実のところ主演第2作としてけっこう期待していたんだけど,覚えているのはラストにダンスシーンがあったなあ,という程度。ホントは作中何か所も彼女のダンスシーンがあるんだけど,いかんせん角川春樹には監督の才能がなく,ラスト以外は印象薄い。

そのラストというかクライマックス(なんだろうな)というのはヒロインがオーディションに合格して晴れの舞台で踊るシーンなのだが,ここは独立した劇中劇風の撮り方になっている。これを見せたいがために企画された映画といってもいいかもしれない。その試みが成功しているか否かはなんとも言い難いが,彼女の踊りはけっこうがんばっている。

僕の最初期版LDではサイド2チャプター10の46分9秒からエンドマークまで。1984年作。デジタルサウンド以前の時代のリリースである。見ればおわかりのとおり,いかにも80年代という感じのダンスシーンだ。そういえばこのころはこんなのが流行っていたなあ,という気分が充満している。

現在のビデオクリップ類と比較すると,ダンスシーンのワンカットはいくぶん長いような気もする。短いカットをつないでカッコよく見せる,というやり方は時代とともにエスカレートしているだけに,今となってはキレがいまいちかな。

オレならこう撮る!とか原田知世にはもっと違う企画をやらせたかった!という声が聞こえてきそうな映画である。エンドマーク後のクレジットが全くない珍しい(現代の作品としては)構成も,当時ちょっとだけ話題になった。

愛情物語 SF068-0006
発売元(株)レーザーディスク/パイオニア