本家ダバダバダ

■男と女■

たとえ「男と女」という映画を見たことがない人でもフランシス・レイ作曲のあの「ダバダバダ,ダバダバダ」で有名なテーマ曲は聞いたことがあるだろう。今ではスタンダードな名曲中の名曲だしね。

でもせっかくDVDが出たのだから,この史上名高い恋愛映画のビッグタイトル,映画ファンの基本として一度は見ておこうよ。こういう超の字がつく有名な映画というのは意外と名前だけは知ってるけどホントは見たことないんだという人が多いものだ。

初めて見る人には想像どおりの雰囲気かもしれないし,予想外の世界かもしれない。今見ると,監督のやりたかったことはよくわかるよ,という感じもあるかな。1966年の製作だが,さてその頃ほかにはどんな映画があったっけ。これと「白い恋人たち」を見ればクロード・ルルーシュ監督作品のイメージが出来上がってしまうかもしれないほど個性的だ。

今のハリウッドの娯楽超帝国ぶりを思うと,こういった薫り高いフランス映画の世界とは相容れないような気がするが,当時のハリウッドでも絶賛されたのだからアメリカ人にも意外と文化的に懐の深い時代があったわけだ。少なくともフレンチフライポテトを"敵性語"として改変するような幼稚さとは無縁だったということか。

お盆の時期(今は2003年夏)に引っぱり出して見る映画ではないけど,秋冬の,ちょっと頭が文化的に冴えてる気分の時には味わい深い世界である。CGのない映画って新鮮だぞ。

それとアメリカ映画は沈黙が苦手だが,こちらはなんてったってクロード・ルルーシュだからね,流れるような映像と沈黙も含めた音や音楽のメリハリが鮮やかだ。でもやっぱりあのテーマ曲がいちばん気持ちいいかな。

作中いろんなアレンジで登場するが,DVDでは特にチャプター15の79分51秒あたりから流れるのが本家本元って感じじゃないだろうか。フランシス・レイのベストアルバムに収録されていたのもこの部分だった。

想像はつくと思うが,見終わるとこのテーマ曲が頭の中で延々とリフレインされることになる。シンプルで美しいメロディというのはこんなにも強力なんだねえ。実はこのメインテーマ以外の音楽もとてもよくて,これはサントラ自体も欲しくなる映画である。フランシス・レイの才能にあらためて感服してしまうよ。

男と女 特別版 DL-11655
発売元(株)ワーナー・ホーム・ビデオ