ビッグベン崩壊

■アベンジャーズ■

最近のリメイクブームについてはいろんなところでいろんなことが言われているけど,ひとつには昔のコミックやテレビシリーズで育った人々が製作の中心的世代になってきたから,というのもあると思う。

思い入れはある,けれども映像や音声は今見るとちゃちい,ならば自己の大切な記憶とイメージを補強するためにも自分の手で最新のものにバージョンアップしたいという衝動はまあ理解できる。一般人なら妄想かせいぜい同人活動で欲求を満たすしかないが,映画を作れる立場にある人間ならトライしたくなるだろう。

明らかにそういう動機で作られたとおぼしき映画も少なくないと思うが,出来の方はまあいろいろだ。観客のひとりとしては自己満足だけのものは勘弁してほしい。

では98年のアクション映画「アベンジャーズ」はどうかというと僕には判定不能である。昔のテレビシリーズは見ていたと思うけどあの有名なテーマ音楽以外はほとんど記憶にない。これが損なのか得なのかがよくわからない。テレビ版への思い入れのない身では監督たちの込めたこだわり具合がどの程度なのか不明だからだ。

でもこのタイプの映画は好き。できるだけお金をかけてデラックスにやってくれるほどうれしくなる。レビュー的にはあんまり好評なのを見たことがないけど娯楽作品というのはこういう作りで遊んでほしいものだと思う。

なんといってもユマ・サーマンがいいなあ。きれいな女優さんだよねー,スタイルいいなー,足長いよーというわけでこの映画は彼女だけ見ていればいいのかもしれない。個人的には昔テリー・ギリアム監督の「バロン」でヴィーナス役をやった時の美しさが忘れがたい。あれ以来気になる女優さんのひとりである。

派手なシーンの代表としてはクライマックスの対決とロンドンを襲う異常気象のシーンかな。印象に残ったのは大きな雷がビッグ・ベンを直撃して時計の文字盤の部分を粉砕するカット。アメリカだとホワイトハウスか自由の女神が国を象徴するモニュメントだけど,イギリスだとやっぱりビッグ・ベンなんだねー。昭和の日本なら東京タワーか。

DVDではチャプタ−27,だいたい77分03秒付近。ストーリーがだいぶぎくしゃくしてるような気もするしテレビ版を知らない人には唐突なシーンもあるけど,思い入れのあるシリーズを映画化するにあたってあれもこれも入れたいという気持ちはわからんでもない。御大ショーン・コネリーも楽しそうに悪役やってるし,こういう安心路線もひとつやふたつは継続してほしいなと思う。

アベンジャーズ DL-15873
発売元(株)ワーナー・ホーム・ビデオ