エイリアン2のパワー・ローダー

■エイリアン2■

「今度は戦争だ!」という威勢のいいコピーで人気を博した「エイリアン2」は86年の作品。これを書いているのは2000年の9月だからもう15年近く前の映画になる。いやあ月日のたつのは早いもんだ。

ご存知のとおり,前作とは全くカラーの違う作品にしたところが成功のポイントで,豪速球のアクション映画としてたいへん楽しませてもらった。とにかくハリウッド型娯楽映画の鑑のような作品で,見終わったときは思わずため息が出るほど消耗したものだ。ごついステーキをムシャムシャ食ってる人種の映画だよねえ。

この「エイリアン2」や「アビス」「ターミネーター2」「タイタニック」と見てくると,キャメロン監督は作中ですべてを描いてみせないと気が済まない人のようだ。観客の想像にゆだねるなどという演出はまどろっこしくてできないのだろうな。

本作にしても終盤の脱出劇,そして大爆発というところで終わっていても十分だと思うのだが,まだ先がある。なにしろ思いついたことは全部見せなきゃ気が済まない人だからね。キャメロン監督に90分の映画を撮れと言ったら頭を抱えてしまうに違いない。まあおかげで恐ろしくわかりやすいけど。

さてこの映画,見所も多いが誰もが記憶にあるのはラストのリプリー対エイリアン・クイーンの戦いだろう。実にお約束の展開とはいえ,ここで活躍する人型工作機械パワー・ローダーの映像には「アメリカ映画ってここまでやるのか」と感涙にむせんだ人も多かったと思う。

どこかの重機メーカーが今すぐ作れそうなリアルな感じが秀逸で,機体にコマツとか三菱などと書いてあってもちっとも違和感がない。操縦系も実用品っぽいし,これを実写でやれるというのはうらやましい限りである。

DVDではチャプター32。映画前半で1度登場しているが,やはりこのクライマックスだろう。ここまでくるとリプリーは完全にスーパーヒーローと化しているが,見ている方もこのエアロックのくだりでは本当に力が入る。一件落着してぷはあーっと大きく息を吐いてしまう迫力であった。

ところで,今回久しぶりに見て新鮮だったのは映画前半の展開。今まで後半のアクションシーンばかりが強烈でそこしか記憶になかったのである。そうかあ,何がどうしてああなったのか,というのをやっと思い出したよ。

雲間を飛ぶ着陸艇の合成など今見るとちゃっちいところもあるのだが,満腹するまで堪能できる娯楽大作としてぜひ手元に置いておきたい1作だ。

エイリアン2 FXBA-1802
発売元(株)20世紀FOXホームエンタテインメントジャパン