白い恋人たち−あの名曲

■白い恋人たち■

「白い恋人たち」は非常にポピュラーな曲だ。今このページを読んでいるあなたもきっとご存じだろうと思う。たとえ曲名は知らなくてもメロディを聞けば「ああ,知ってる知ってる」とおっしゃるはずだ。そしてこの曲が同題の映画のメインテーマ曲であることもまたご存じかもしれない。サウンドトラックから生まれた大ヒット曲である。希代のメロディ・メーカー,フランシス・レイの名曲中の名曲だ。

ではその「白い恋人たち」がどんな映画であるか知っている人はどのくらいいるだろうか。見たことのある人は意外と少なくなっているのではないか。何しろタイトルがこれで監督がクロード・ルルーシュ,音楽はフランシス・レイの「男と女」コンビ,しかもあのロマンチックなテーマ曲である。知らない人はきっとラブ・ストーリーと勘違いしているかもしれない。

古くからの映画ファンには言わずもがなであるが,これは1968年にフランスのグルノーブルで開催された冬季オリンピックのドキュメンタリー映画である。しかも公式記録映画の趣とはずいぶん違って流麗で美しい映像詩である。ストーリーもナレーションもなく,選手と役員そして観客,さらにそれをとりまく人々の姿を様々な技法ですくい取った印象的な映画だ。実にフランスっぽいぞ。

あのメインテーマ曲は全編にわたっていろいろなアレンジで登場するが,一般の人に最もなじんだフレーズは冒頭,サイド1の2分28秒あたりからたっぷり聞ける。ここは聖火リレーのいろんなシーンを映し出したところである。走るだけではない,ある時はスキーで,ある時は自転車で,またあるときは水上スキーで!運ばれてゆく聖火。自国で開かれるオリンピックに参加している誇りと緊張がトーチを掲げる彼らの表情に浮かんでいる。

古くは「民族の祭典」や「東京オリンピック」など五輪のドキュメンタリーはいくつもの傑作を生んできたが,最近はどうしたことかオリンピック映画というのを見ない。作られているのかそれとも作られていないのか?「札幌オリンピック」のそれは確かに劇場公開されたのを記憶している。その後はどうなっているのだろう?

白い恋人たち C59-6272
発売元(株)日本コロムビア