50キロより重い

■バットマン■

キム・ベイシンガーが「L.A.コンフィデンシャル」でオスカーをもらった時,BSでの中継を見ていたんだけど(当然のことながら)本当にうれしそうでとても印象に残っている。うんうん,よかったねーとついテレビの前でつぶやきたくなる感じだった。

その彼女がヒロイン役で登場した「バットマン」は根暗なヒーローの雰囲気や独特の美術が魅力的な1作だ。監督ティム・バートンの個性だと思うが,昔のテレビシリーズを覚えている身には実に新鮮でカッコよかった。日本でならただのコスプレになってしまうあの姿で見事にサマになっているのだからさすがはハリウッドだ。

このシリーズは毎回奇矯な敵役で有名だが,この第1作でのジャック・ニコルソンなどノーメイクでも十分バットマンの敵が務まりそうだ。ごっそりギャラを持っていくだけのことはある。

さて,そのニコルソン一味(?)からバットマンの手によって救出されたキム・ベイシンガー扮するビッキー。「L.A.」でのしっとりした風情と違ってやり過ぎなくらいキャーキャー叫ぶヒロインである。あれはわざとそんな演出しているのだろうか。

そのビッキーを救出したバットマンが,追っ手から逃れるためにワイヤーで自分と彼女をビルの上に引き上げるシーンがある。ルパン3世などもよく使う小道具だね。で,事前にバットマンがビッキーに体重を尋ねる。すると彼女は「50キロぐらいよ」と答える。原語では

About 108, I think

となっている。108ポンドくらいというわけだ。ところが巻き上げ中のワイヤーが途中で止まってしまう。バットマンはやむなく自分だけ地上に降りて追っ手を始末することになる。ザコどもが片付いた後でバットマンいわく

50キロより重い

バットマンは根暗で緻密な性格なのでたぶん正確に自分の体重+108ポンドに巻き上げのパワーをセットしたに違いない。このセリフ,サバよんだなオマエ,おかげでヤバかったじゃねーか,というニュアンスが3%くらいは混じっていると見た。緊迫したシーンだったのに妙に笑える。

DVDではチャプター16の69分33秒あたり。このへんは中盤の見せ場でもあり,バットマンのあのごつい車がむちゃくちゃカッコいい。シールドがバリヤーではなくて重装甲なのが実にあの世界観にぴったりで「おおー」と感動したものだ。

ちなみにこのDVD,同時収録の日本語吹替えはいまいちだが,ニコルソンの声をデーモン木暮がやっていてキャプションには「デーモン木暮閣下」と書いてあった。わははは。

バットマン DL-12000
発売元(株)ワーナー・ホーム・ビデオ