子連れで覗いたマニラ(7)
〜次男のけが、そしてフィナーレ〜


マニラ郊外、静かな海の町ナスブ。そしてベッキーさん一家の優しい笑顔と、今までの緊張から一挙に解放された穏やかな時間。しかし、その夜、シャワーのあと、それは起きてしまいました。
シャワールームが狭かったので、先に子供達を洗い、先にあげたのです。そのまま、裸でベッドで飛び跳ねていた2歳の次男。そして、ツイラク。その時、ベッドサイドのガラスのテーブルに、顔面をはげしく打ちつけてしまったのです。次男の激しい泣き声を、私はシャワールームの中で聞きました。

ベッキーさんたちが、すぐ対応してくれ、鼻血を止血し、冷やす氷を用意してくれました。
鼻血はすぐに止まりましたが、顔はかなりの腫れようです。それでも、少し経つと落ち着きを取り戻し、いつもの笑顔を見せるようになりました。そして、ベッキーさんの息子、小学1年生のお兄ちゃんが、両手いっぱいのお菓子を持ってきてくれ、次男は大喜びで食べ始めました。

結論から言うと、何も異常なく打撲で済んだのですが、紫色になった顔の真ん中は、痛々しいものでした。マニラへ戻った翌日、その翌日のフィリピン最後の日と、顔の紫色はどんどん広がるばかりです。どこに行っても、“どうしたんだ?”“大丈夫か?”と心配され、スーパーのおばさんは、“良くなる良くなるよ!”と次男を抱きしめてくれました。身に浸みる周りの人の優しさ、大事にならなかったことへの感謝。そして、子供という“自分と別の身体”を守ることの難しさを、痛感していました。

「私、初めてひとりになってみて、つくづく感じたんです。子供たちの存在にも“守られて”いたんだなァーって」
それは、今回の旅の同行者友人Yちゃんの言葉。マニラ最終日に、私が彼女にひとり歩きしてみることを勧めたんです。そして、わずかな時間にいろんなことがあったらしく、戻ってきた開口一番がそれ。子供を必死に守ってきたような気がしていたけど、実は子供たちに私達が守られていた・・、それは面白いメッセージでした。純粋な親切を呼び寄せてくれて、キケンなことに出会わなかったのは、そのせいかもしれませんね。
というわけで、本格的には初めての、子連れバックパッカー旅行は終わり。出発前は、胃がギューギュー痛くなるほど緊張していたんですが、ひとり旅とはまた違う経験、思い出たくさんできました。普段は乗らない、高いタクシーや、ぼったくりと分かってるのに、子供の喜ぶ顔が見たくて、馬車に乗ったりしましたしね。案の定、どちらももめましたが、今思えば、よー負けんで頑張った!と思います。
反対に、都会を離れ、海辺のネックレス売りのおじさんやTシャツ売りのおばさんは、のんびりほんわかしてましたね。馬に乗せてなんぼの商売なのに、馬をじーと見つめてる子供達を見て、おじさん、ただで乗せてくれました。
 最初から最後まで、気になっていたのは、やはり、おカネ目当ての“ユーカイ”説ですね。実際、そんな気配を感じることはなかったのですが、いつも手をしっかと繋ぐ、というのはムリ。すぐ汗ですべます。だから、バックのショルダー部分を使って、お互いの体を繋ぐ方法は、なかなかグッドでした。
最後に、今後の課題! それはスバリ洗濯です。荷物を小さくするには、毎日洗濯するのが一番なんですが、今回、いざ、やってみると、ちょっとタイヘン。小さいと言えど、シャツにズボンにバンツが2人分。排気ガスと汗でドロドロ。しかも水の出は悪いので、時間がかかるんです。それに、干す場所はないし、かなり多湿なので、シャツ1枚、外に干しても、なかなか乾かなかったですね。ひと工夫考えなきゃ、ですね。
反省と改善を加えて、次の旅は、ベトナムで、元ストリートチルドレンたちの教育施設を訪問しようと思っています。もちろん、子供たちと一緒に。(おしまい)

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