心ゆたかな国ミャンマー(7)〜ワンハンドレッドワン プロポーズ!〜


 私たち3人を乗せた車は、最終目的地カローへ到着しました。ケンゾーさんは、安くていい宿を知っているからと、まっすぐそこに案内。
<ゴールデン カロー イン>
頼んだワケじゃないけど、こうして終日観光につきあってくれた彼に、
「ありがとう。とっても楽しかったわ」
とお礼を言いました。『あーお別れなんだなー』と思っていると、彼はニコニコ顔で、車を降り、スタスタと中へ。すると
「わー!ひさしぶり!」
そんなカンジの女性の声。
「リリイだよ。古い友達なんだ!」と。
 そして、な、ナント
「ボクも泊まるよ」と彼。・・目がテン!です。
『そっか、もう戻るのは大変だから、明日帰るのか・・』と思ったら、ドライバーくんの方は、じゃあ、と行ってしまいました。
それから、2階の隣どおしの部屋に案内されると、
「明日は、朝6時にトレッキングに出発しよう。リリイに頼んだから。さて、これからシャワー浴びて、町に案内するよ」
ケンゾーさんは、楽しそう!。

 「ボク、日本人でとっても好きな人がいるんだ」
「へえ・・」
「テレビに出てる人だよ。知ってるかなー?」
と照れ顔のケンゾーさん。アイドル?、当然女性の名前が出てくると思っていると、
「タケダ テツヤ!」と思いがけない返事。
「へえ!ほんとー。もちろん、知ってるわ。彼の音楽が好きなの?」
と聞くと、彼は照れながら、そして、こう続けます。「彼のムービイを見てから、ファンになったんだ」 と。タケダテツヤと言われて浮かぶのは、金八先生かカンフーもの。で、なんのムービイ?と聞くと、 「ワンハンドレッドワン プロポーズ!」
なんと!101回目のプロポーズだったのです。誰もが?泣いた浅野温子との純愛ドラマ。それがミャンマーで上映されて、彼は何度も映画館に足を運び、あまりの感動に、ビデオも買っちゃったと。
「いやー何度見ても涙がボロボロでねー。本当の“テツヤ”ってどんな人かなー・・」
 思わず、なるほど・・と納得です。彼は超ロマンティストなんですねー。だから、ピンダヤにまつわる“いわれ”(巨大蜘蛛におそわれた王女様を、通りがかった王子が助け出し結婚したというラブストーリー)を私にトクと聞かせたワケかぁ・・と。
 ケンゾーさんは、花の独身、30歳。
「あんな恋愛がしたいなあ・・」
とうっとりつぶやくのでした。

翌朝、6時はまだ真っ暗。ケンゾーさん、リリイと、いよいよ山へ出発です。
ここカローには、少数民族に会いに行くコースがいくつもあるそう。とにかくしんどくないコースにしてね、との要望に、大丈夫よ!とリリイ。実は、山歩きやらマラソンやら、体力的にしんどいのキライなんです。
 でもー、それがー、しんどいのなんの・・。
少数民族に会えたあとは、もー死にました。
 私が会ったのは、パラウンピープルという、お茶を栽培している民族。横長のわらぶき住居に、5〜7家族が住んでいる様子。しきりはなく、そのかわりに、夫婦の寝室だという小屋が、等間隔に設置されています。各家族のお母さんは、火をおこし湯を沸かし、食事の準備をしています。しわくちゃのおじいさんが、笑顔で、お茶入れてくれ、バナナや木の実をすすめてくれました。子どもがやたら多い多い。その上に、どの母親も小さな赤ちゃん抱えてて。
ーかわいい!そうそう。私、自分の子どもの写真持っているの。お兄ちゃんは3つ。この子は8ヶ月なのよ。
と、身振り手振りで説明してみる。
ーほんと?あなたの?・・まあ!
目を丸くして、写真と私の顔を、行ったり来たり眺めるみんな。ふいに母親が、笑顔で、自分の腕の小さな小さな赤ちゃんを私の腕に寄せました。 (続く) 

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