心ゆたかな国 ミャンマー(4)〜インレー湖のガイド Mr.ムー〜


 ミャンマーでは、バスがむちゃくちゃ安いんです。ほんとは、300ドルも強制両替させられてるのですから、貧乏する必要もないのに、まあクセというか、この方が楽しそーというか・・困ったモンですねー。
   こうして1泊2日約19時間、約6ドルのバス旅、始まりました。
 バスは日本のもの。“○○観光”と書かれたままで使われています。ところどころ補助席がなかったり、カーテンが破れてたりですが、自動ドアとエアコンはしっかり動いてくれてました。
 ところで、有名なマンダレーやパガンをさしおいて、なぜインレー湖なのかと言うと、
“インリーが(現地の人はこう呼ぶ)いいわよ〜”
と、聞いたからなんです。住んだことのある女性に。
で、ガイドブックを開くと、シャン族をはじめ山岳民族が多い土地であると。山と田園風景に囲まれた風光明媚な湖。浮島の小さな集落には、水上マーケットや水上寺院・・。しかも、それらが見せ物化されてなく、生活の密着した匂いがある・・等々。
極めつけが、湖見物の基地となるニャァンシュエという町に、直接入る公共の交通機関がないこと。だから“シュエニァゥン”という玄関にあたる町からは、乗り合いトラックバスとやらに乗らなくてはいけないこと。何とも冒険心がそそられた?わけなんです。

 ヤンゴン発は、午後1時半。終点はタァゥンジーという町。その手前の“シュリナウ”で降りるのよ、と再三言われてバスに乗り込んだ私。で、ガイドブックを見ると、そんな地名、どこにも載ってない!一体、それってどこよ〜!
 しかし、みんなが、ここだ、ここだと教えてくれました。その後、この“シュリナウ”が、“シュエニァゥン”というカタカナで載っていたことに気づいて・・・ははは!です。・・カタカナって難しー。
 バスでは、隣の女性と仲良くなれました。長距離バスに必ずあるトイレタイムやゴハンタイム、このときの現地の人とのふれあい、これがいいんです。
 そのシュリナウに着いたのは、夜明け前。げーまだ真っ暗じゃん・・と戸惑っていると、ササットと、男性が3人走り寄ってきました。
「ホテル!ツー ダラー、ツー ダラー!」
「ベリーチープ! グッド!」
「スリー ダラー!バルコニー インリーOK!」
『へっ?2ドル?3ドル?・・そんなに安いの?』
彼らは写真で説明してくれます。
 写真で見る限りどっちもどっち。人間が良さそうな若い男の子の方、3ドルのホテルに決めました。
 彼はうれしそうに、カフェでコーヒーをおごってくれて・。すると、ちょっと待っててと、ドイツ人カップルもゲット。そうして彼らと一緒にトラックに荷台に乗って20分、ニャァンシュエ到着です。降りて入ろうとしたとき、彼はそっと言いました。
「本当はここ5ドルなんだ。キミは特別に3ドル。だから彼らには言わないでね。」
案内された部屋は、ツインルーム。シンプルかつ清潔。トイレ、シャワーもあって申し分なしです。私は満足して、荷物を置き、早速インリーに向かうことにしました。

「インリー、ボート!」
数名の客引きの声。いくらかと聞くと
「1800チャット!」
『5ドル位かァー。でも、ホテル1泊分より高いってことだなー』と考えながら、
「高いわ、安くしてよ」と値切ってみました。
「いくらなら乗る?」
「1000チャット!」
すると、客引きさんたち、みるみるあきれ顔。そりゃームリだ、と言わんばかり。そんな中、ひとり一風おとなしそうな男性だけがついてくる・・。
「あなたもガイド?」と聞くと頷く彼。
「1000ってムリ?・・乗り合いの船は?」
停泊している船には、5、6個イスが置いてあるからです。彼は、1隻の金額だから、誰かと乗り合ってOKだと。でもまわりは、ヨーロッパ人の団体ばかりで、残念ながら、それはムリそう。
「じゃあ、1200にしてくれない?」
「う〜・・、ギリギリで1300なら・・」
それが、彼、ミスター ムーとの出会いでした。

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